日本は「勉強」と「仕事」の間に差がありすぎる

即戦力を生むドイツの「職業教育」に学ぼう

職業教育の模範例として議論されることが多いドイツ。実際の制度は、どのようなものなのか(写真 :xiangtao / PIXTA)

年功序列、終身雇用制度が崩壊した日本。大きく変わる労働環境の中で、「職業教育の大切さ」が指摘されるようになった。日本は終身雇用を前提に新卒の学生を採り、会社で研修して、「戦力」に育ててきたが、終身雇用でなくなった今、じっくりと若者を育てる余裕がない企業も多い。だからこそ、「職業教育の制度を整え、手に職を」といった声も根強い。

職業教育の話になると、よく例として挙げられるのが、職人の国と呼ばれるドイツだ。日本がドイツの職業教育を参考にし、取り入れるとすれば、どのようにすべきなのだろうか。

ドイツの「デュアルシステム」とは?

ドイツの職業教育は、学校で理論を学び、職場で実地経験を積むというデュアルシステム(2元制度)。職業教育は、いくつか種類があるものの、アウスビルドゥングと呼ばれるものが主流だ。デュアルシステムの下、学校に通いながら働く制度ということになる。たとえば、月曜と火曜は専門学校で勉強し、水曜から金曜までは働く。もしくは3カ月学校に通い、3カ月働くということを繰り返すなどの形式がある。期間は職種にもよるが、3年前後の場合が多く、アウスビルドゥング修了=即戦力と理解される。授業料は基本無償で、企業から給料も支払われる。

ドイツ統計局によると、2015年は約80万人がアウスビルドゥングに従事していた。80万人というと、浜松市の人口と同じくらいだ。販売員や事務職はもちろん、整備士や家具職人など、300以上の職種で実施されている。アウスビルドゥングを受ける人は、大きく分けて2パターンある。基幹学校、実科学校の卒業生と、それ以外の人たちだ。

基幹学校は15歳前後、実科学校は16歳前後で卒業する。日本でいえば中学校のようなもので、基本的には総合大学への入学資格がない。だが18歳までの若者は職業学校へ通う義務があるため、基幹・実科学校の卒業生の多くが、職業教育を受けることになる。そのため、ドイツでは多くの人が、「大学卒業」もしくは「職業教育修了」のどちらかの資格を持っている。

というより、どちらも持っていない場合、就職は難しい。ドイツでは日本のようなポテンシャル採用をしないので、「大学卒」や「アウスビルドゥング修了」といった、わかりやすい「即戦力になる証明」が必要なのだ。「それ以外の人」というのは、大学を辞めた人や、違う業種に就きたい人など、さまざまな背景が考えられる。ドイツに根付いている職業教育は、このように、人材育成の面で大きな役割を担っている。

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