東芝、3月末の債務超過回避策は綱渡りだ 見えない資本増強
[東京 27日 ロイター] - 東芝<6502.T>が主力のメモリー事業の分社化と、外部資本の導入方針を正式発表たことで、3月末の債務超過回避が視野に入ってきた。ただ、メモリー会社の一部株式の売却手続きが年度内に決着するかどうかは綱渡りの状況だ。
さらに3月末に債務超過を回避したとしても、抜本的な資本増強は避けられない情勢で、その道筋はいまだ見えていない。
綱渡りの売却スケジュール
東芝は現在、米原子力事業に伴う減損損失額について、監査法人との協議を続けており、5000億円を超える可能性が出ている。最終的には2月14日の第3四半期決算発表時に公表する予定だが、3月末に債務超過に陥るリスクが現実化していた。
関係者によると、東芝は来月初旬にも、メモリー会社の株式20%未満の売却手続きに入る。東芝は、メモリー会社の企業価値を1―1.5兆円と試算しており、2000億円の株式売却益を想定。減損額が5000億円を超えたとしても、資産超過を確保できる見通しだ。
買い手候補には、提携相手の米ウエスタンデジタルや、米シルバーレイクなど複数の投資ファンド、キヤノン<7751.T>など取引先のほか、日本政策投資銀行も視野に入れている。
ただ、通常の事業売却プロセスでは、買い手候補に資産査定の時間を与え、そのうえで数回の入札を経て、相手を絞り込む。この間、早くても2―3か月はかかるのが一般的だ。売却決定が4月を超えても、決算発表までの間であれば「後発事象」として処理できるが、「決して時間的な猶予があるわけではない」(取引銀行幹部)との懸念も出ており、薄氷のスケジュールとなりそうだ。