梅原大吾「勝ち続けるプロゲーマー」が誓う掟 すべてのきっかけと動機は「人」だった
ぼくが今こうしてゲームをしている意味
――数々の格闘ゲーム世界大会を制しています。
一昨日、『Red Bull Battle Grounds 2016』でシアトルから帰ってきました。今年は海外の大会だけで16回。国内も含めると年中どこかで戦っている感じですね。一度きりの勝ちなら運や要領で実現できますが、勝ち続ける「強さ」を手に入れるには、それなりのやり方が必要になってきます。昨日より今日、今日より明日と、その時々で、次の大会に繋がるような発見を、と考えながら試合に臨んでいます。「一日ひとつだけ強くなる」ことで、勝ち続けていくことへのプレッシャーに飲み込まれることなく、案外力まずに楽しんでやっています。
勝って世界一になることは、プロとして当然大事なことなんですが、それと同時に、いかに観客が「楽しんで」くれるかが、ぼくにとっては重要で……。たとえば、飲みの席で、いくら酒が好きでも、自分の話ばっかりする人とは飲んでも楽しくないですよね(笑)。それと一緒で、いくら強くても、そんなゲームばかり見せられたんじゃつまらない。
ぼくは、自分が勝つことでシラけてしまうプレーだけはしまいと心がけてきました。自分が気持ちいいことしかしないのは間違っているよなと、昔から思っていて。それは場所が近所のゲームセンターから、世界大会になっても一緒でした。なぜならゲームこそが、自分の唯一の居場所だったからです。そこで、応援してくれてきた人たちを楽しませなければ、ぼくが今こうしてゲームをしている意味もないとさえ思っています。