米司法省が指摘したタカタの隠蔽工作の手口

「詐欺」行為は元幹部の刑事訴追へと発展  

創業家の高田重久・会長兼社長(中央)。写真は2015年6月、エアバッグ問題の現状報告時(撮影:尾形文繁)

試験データの改ざんを意味する社内の隠語は、“XX”だった――。

米国だけで11件の死亡事故を引き起こし、2014年秋以降、米国を中心に大きな社会問題となってきたタカタ製エアバッグの異常破裂問題。

米司法省は、タカタのインフレーター(ガス発生装置)の欠陥がエアバッグの異常破裂を引き起こしてきた問題に関連して、同社がインフレーターの性能試験データを改ざんしてきたことを指摘。少なくとも2000年ごろから、自社製造のインフレーターが自動車メーカーの要求するスペックに達していない場合があることや、試験中に異常破裂さえも引き起こしたことがあると認識していながら、それらのデータを隠蔽して自動車メーカーに販売してきたという見解を1月13日に発表した。

同時に、これらの”詐欺行為”に中心的に関わったタナカ・シンイチ氏、ナカジマ・ヒデオ氏、チカライシ・ツネオ氏の元幹部3人を昨年12月7日付けで起訴したことも明らかにした。

1月13日に公開された米ミシガン州の連邦大陪審が提出した起訴状からは、3氏が虚偽データを自動車メーカーに提出するに至るまでのやり取りが記載されている。

電子メールで「改ざん」の意向を確認

起訴状によると、最初に電子メールでやり取りがされたのは2004年の2月前後までさかのぼる。ナカジマ氏はタナカ氏やその他の従業員に対し、自動車メーカーに提供するインフレーターの試験データを「改ざん」する旨を説明。それから1年後の2005年2月前後、タナカ氏はナカジマ氏とチカライシ氏やその他の従業員に電子メールで、インフレーターの試験データを改ざんする以外に「選択肢はない」との意向を伝えたのだった。この電子メールを受け取ったナカジマ氏は、メールグループへ「私もXXする以外に選択肢はないと思う」と同調する返信を送った。

続く3月には、タナカ氏がナカジマ氏とチカライシ氏らに「XXは完了した」と報告、翌4月には若手エンジニアにも「XXするよう」指示する電子メールがタナカ氏から送られた。

6月、ナカジマ氏は「私たちは一緒に橋を渡る必要があった」という言葉を用いて試験データを改ざんする以外に選択肢はなかったとの内容を改めて電子メールでタナカ氏とチカライシ氏などに伝えたのだった。

さらに2008年以降にエアバッグの異常破裂による負傷・死亡事故が相次ぐようになってからも、試験データの隠蔽を続けた。また、上級幹部らが3氏らのデータ改ざん行為に何年も前から気が付いていたにもかかわらず、2015年まで3氏らになんらかの懲戒処分がなかったことに対しても、米司法省は厳しく批判した。

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