米国は建国以来ずっと「米国第一」主義だった

トランプの気まぐれより重要な「米国の本質」

「米国第一」主義は、何もトランプに始まったことではない(写真:c Polaris/amanaimages)
衰退著しい覇権国アメリカ、混乱する中東、クリミアを強引に奪取するロシア、東シナ海・南シナ海で挑発行為をやめない中国。
パワー・バランスが大変動する今、「地政学」という、古めかしく、まがまがしいニュアンスすら伴った言葉が現代に蘇ってきている。一方でこれまでの地政学的思考だけで、世界を分析し、生き抜くことは非常に困難ではないだろうか?
『TPP亡国論』で日米関係の歪みを鋭い洞察力でえぐり出した中野剛志氏による『富国と強兵 地政経済学序説』が、このほど上梓された。
本稿では、「富国」と「強兵」をキーワードに、「地政経済学」の視点から米国が陥っている深刻な矛盾の正体を探る。

トランプとオバマで異なる「米国第一」

『富国と強兵 地政経済学序説』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ドナルド・トランプ政権は、米国をどこへ導くのだろうか。その予測の難しさに誰もが困惑している。

だが、予測が難しいのは、トランプの考えが型破りだからというだけではない。米国という国家自体が深刻な矛盾の中にあるからである。

したがって、トランプの気まぐれな言動に一喜一憂するよりも、まずは米国が抱える矛盾の本質を見極めることが重要である。

トランプについては、「米国第一」という理念を掲げたことが、その顕著な特徴として注目されてきた。だが、「米国第一」主義は、何もトランプに始まったことではない。

たとえば、オバマはTPP(環太平洋経済連携協定)を推進し、トランプはこれを否定した。しかし、いずれの方針も「米国第一」の理念から出たものなのだ。ただ、トランプとオバマとでは「米国第一」の意味が異なっていたというにすぎない。

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