ZARAから学ぶデジタル時代のブランド哲学 いまこそ迅速化すべき4つのポイント

拡大
縮小

アイルワード氏は「見たものはすぐに購入できるというスタイルは競争力をもつ。従来のリテール企業からこの動きが出てきたことで、注目も彼らに引き戻されることになった」と語る。これを可能にするためには内部での生産システムを変更しなくてはいけなかった。

ランウェイでの発表と同時に、店舗へ出荷できる状態にコレクションを作るためには、迅速な生産システムが必要不可欠。レガシーブランドの多くは、こうした素早い生産スタイルに慣れていない。

バーバリーのCEOであり最高クリエイティブ責任者であるクリストファー・ベイリー氏はこの点について、「ビジネス・オブ・ファッション」に語っている。生産システムの変更さえ実行できれば、コレクションについての反省を反映し、新しいインスピレーションを集める選択肢が増えたということだ。

データ重視で素早く「企画」

ラグジュアリーファッション以外でも、リテイラーはデータを活用して消費者トレンドにより早く反応しようとしている。コーズが最近、ミレニアル世代向けに発表したブランドにK/Labというのがある。K/Labはソーシャルメディアのデータを使い、素材やスタイル、色についての判断を下しているという。

K/Labの3人編成のチームはソーシャルメディア、ブログ、そしてカスタマーに関する分析データを読んで、プロダクションやデザインについて判断を下す。そして、13週間のペースでプロダクトを生産していくという。

11月には、ロード&テイラー(Lord & Taylor)が3つのブランドとパートナーシップを組んで、毎週何かのプロダクトを出していくという計画を発表した。3つのパートナーは、アイザック・ミズラーイ、H・ホールストン、そしてハイライン・コレクティブだ。毎週新しいアイテムを追加することでロード&テイラーはZARAと同じペースで新しい在庫を獲得することになる。

こういったデータに基づいた、頻繁な在庫追加のスタイルは、ZARAが巧みに行ってきた戦略と重なっている。ZARAはこれらをさらに大規模に、そして均質に行っているのだ。

「購入者たちが実際にいま見ているもの、こだわりをもってソーシャルでシェアされているもの、実際に欲しいと切望されているものであることが前提だ。(ブランドたち)はマーケットでデザインをテストして、どのデザインが人気か特定することができる。そして、それをほかのより確立したラインに取り組むことができる」と、アーウィン・ペンランドの最高プランニング責任者であるジェシカ・ナヴァス氏はいう。

次ページ近場で製造して素早く「納品」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT