就活同然!過熱する「冬のインターンシップ」 企業は前のめり、学生は売り手市場で様子見

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背景には採用スケジュールの短期化がある。経団連が作成する「採用選考に関する指針」では、2016年から採用広報活動解禁日が3月1日、選考活動開始が6月1日となり、その間”わずか3カ月間”という短い期間になった。また多くの企業が内々定出しを6月の早い段階で行っている実情もある。

優秀な学生を確保したい企業側からすれば、その短い採用広報期間では認知度が上がらず、学生に知られないまま採用活動が終了してしまう可能性が高い。そこで、なるべく早い段階から就活生と接触し、企業名と仕事の中身を知ってもらおうと、インターンシップを活用する動きが進んでいるのだ。「各社採用意欲が高く、早く動かなければ学生を確保できない、という危機感が採用担当者にはある。冬のインターンシップの開催増はその代表的な動き」と、採用コンサルタントの谷出正直氏は語る。

事実上の会社説明会、選考活動も

企業が採用手法としてインターンシップに着目している動きは、数字にも表われている。マイナビが2016年12月に発表した「2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、次年度(2018年採用)に重点を置く採用手法として、回答の伸びが一番大きかったのが(複数回答)、「インターンシップの受け入れ」。前回の同じ調査では34.1%だったのに対し、今回は41.5%と、「合同企業セミナー」(36.9%)を抜き、「学内セミナー」(52.7%)や「特定学校への訪問」(42.7%)に次ぐ水準となった。

インターンシップを開催する企業も増加しており、リクルートキャリアによると、6月1日時点でリクナビサイト内にインターンシップ情報を掲載する社数は、2015年(2017年卒採用向け)の3933社に対して、2016年(2018年卒採用向け)は5562社。実に1.4倍にまで膨れあがっている。

あくまでも”就業体験”が目的とされているインターンシップだが、事実上の会社説明会や、場合によっては選考活動の一環と位置づけられているケースもある。2016年7月7日の配信「インターンシップは就活を成功させる近道だ」にあるように、多くの内定者から「インターンシップが内定に結びつくケースがある」との証言が出ている。エントリーが免除されたり、インターンシップ経由の採用を事実上行ったりする企業もある。

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