「逃げ恥ロス」でも恋ダンスが残り続ける理由 「現代的お立ち台」に示したい適度な達成感

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両手を上で合わせたポーズからスタートする恋ダンス。実際に踊ってみると元アイドルですらマスターするのに苦戦したという(写真はしらべぇ編集部提供)

三三七拍子は、大正時代に明治大学応援団がレガッタの応援で使ったのが始まりといわれ、タンタンタンウンと拍子から始まり、最後に休符の入る表拍子のリズムが田植えのテンポともあいまり農耕民族的なリズムとも言われる。リズムからは「恋ダンス」には一糸乱れず応援している応援団的統一行動の要素があるといっていいのかもしれない。

この応援団要素は同じくドラマでYouTubeからダンスが流行った「マルモのおきて」の「マルモリ体操」を思い出す。芦田愛菜ちゃんと鈴木福くんが可愛いらしく踊る「マルモリ体操」は日本中で子供達から大人までたくさんの踊っている動画がYouTubeにアップされた。この曲も「恋ダンス」と同じく表拍子のノリやすいリズムが自然と体を動かせた。YouTubeでダンスが流行るとドラマも注目される。ここにはしっかりとしたマーケティングが盛り込まれているのだろう。

「PPAP」は裏拍子のリズムが秀逸

「恋ダンス」と同じくYouTubeで盛り上がったといえばピコ太郎さんの「PPAP」。

YouTubeでグローバルに話題になった後、逆輸入で日本でもヒットとなった流れはなんともYouTubeらしい。流行語大賞のトップテンに選ばれるなどまさに今年を代表する曲だ。

面白いのは「PPAP」も「恋ダンス」と同じくYouTube上にたくさんのモノマネがアップされているが、「恋ダンス」がオリジナルのダンスを忠実にマネているものが多いのに対して、「PPAP」はダンスをマネるというより替え歌やリズムを変化させた動画が多いということだ。YouTubeで検索するとグローバルで各国のリズムや音色に合わせてたくさんのバージョンがアップされている。

この違い、もちろん「逃げ恥」のドラマが国内だけでしかやっていないということもあるかもしれないが、根本の理由にリズムのとり方があるのではないかと感じる。「恋ダンス」が三三七拍子の表拍子で日本人的なノリなのに対して、「PPAP」はウンタンウンタンと休符拍子休符拍子と、休符から始まる裏拍子のリズムでできている。

表拍子が田植えのように植えて休んで、植えて休んで、のリズムに対して、裏拍子は構えて襲って、構えて襲って、と狩猟民族的リズムといわれ、JazzやR&Bなど西洋的なリズムに裏拍子が多いのもそのためだ。日本人がリズム感がないといわれるのは、この裏拍子に慣れていなくてうまくリズムがとれないからだ。だからこそ「恋ダンス」は日本で、「PPAP」は海外で、それぞれ受け入れられたのかもしれない。

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