試算!「配偶者控除」改正で家計はこう変わる 18年1月から専業主婦は損、パート主婦は得?

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次にケース2「夫が非正規のパート主婦世帯」。

非正規で働く夫(30)は年収300万円、妻(27)はパートで働き年収150万円で、長女(2)を認可保育所に預けている。今回の改正によって、夫は配偶者特別控除を受けることができるようになり、所得税・住民税で年5万2000円の減税を享受できる。所得税の配偶者特別控除38万円(所得税率5%)と、住民税の配偶者特別控除33万円が適用されるからだ。

家計を見ると、住居費は賃貸住宅で月12万円、子どもが小さいので保育費やオムツ代などに月3万円必要になる。が、保険は最小限のものに入り、自動車も保有せず、生活費を抑えて毎月1万円を貯金している。減税の恩恵でわが子の習い事も一つくらい始められそうだ。

年金夫婦にはささやかなプレゼント?

最後にケース3「夫婦ともに年金世帯」はどうか。

夫(67)の年金額は250万円、妻(67)の年金額は200万円。現役時代はそれぞれ正社員として、定年まで高収入で働いていた。今回の改正に伴い、夫は配偶者特別控除を受けることができ、所得税・住民税で年5万2000円の減税となる。所得税の配偶者特別控除38万円(所得税率5%)と、住民税の配偶者特別控除33万円を適用されるためだ。

家計について、住居費はローン完済で維持費のみだから月5万円、自動車は保有しておりガソリン代などで月5万円。旅行と孫にプレゼントをあげるのが趣味で、その他の支出は多く月10万円だ。長生きリスクに備え、月2万5000円の貯金もしている。悠々自適とまでは言えないが、普通の生活をしていく分には、減税はささやかな”プレゼント”と言えるかもしれない。

このように配偶者控除見直しに伴い、それぞれの家計が受ける影響はさまざまである。高収入でもカツカツ家計は増税になったり、ゆとりのある年金生活者が減税になったり、といったケースが出てくる。夫婦ともに非正規で働く共働き世帯にとっては、妻がもっと働いて収入を上げようというモチベーションにつながるかもしれない。いずれにせよ制度改正に備えて、各家庭でその影響を考え、働き方や家計のあり方をもう一度見直す機会を作りたいものだ。 

花輪 陽子 ファイナンシャルプランナー

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はなわ ようこ / Yoko Hanawa

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、東京とシンガポールでセミナー講師など幅広い活動を行う。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書) 、『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。花輪陽子オフィシャルサイト 海外に住んでいる日本人のお金に関する悩みを解消するサイトも運営。まぐまぐ「花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編」も。

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