「高速バス流」の経営は3セク鉄道を変えたか スタートから1年半、京都丹後鉄道の今

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“ピンクのバス”で知られるウィラー・グループは、京都丹後鉄道の運営にも乗り出した

明治以降、鉄道が発達するにしたがい鉄道事業者は発展を遂げ、公共交通事業を担う企業としてバス・タクシー・船舶・航空機などにも進出してきた。これが、昭和時代に多く見られた大手もしくは地方の中核鉄道事業者の姿だ。

ところが、平成に入ると高速バス会社が成長し、その中に鉄道事業へ進出する企業が現れた。ウィラー・アライアンスを中核とするウィラー・グループだ。高速バスを運営する運輸事業と、観光関連市場を担当するITマーケティング事業の大きく二つの事業を展開しているウィラー・グループは、2014年7月にWILLER TRAINS株式会社という鉄道会社を立ち上げた。翌2015年4月から京都府北部の丹後・丹波地域と兵庫県の但馬地域を走る「京都丹後鉄道(丹鉄)」の運行を担っている会社だ。

同社は、京都府などの出資で設立した第三セクター鉄道「北近畿タンゴ鉄道(KTR)」の上下分離化により、列車の運行事業を同社から引き継いだ。スタートから1年半を経た同社の取り組みの意図と成果、さらには将来構想について、WILLER TRAINSの寒竹聖一常務取締役に取材した。

鉄道やバスの枠にこだわらず

寒竹常務は開口一番「ウィラー・グループは、交通ネットワーク作りを目指す会社です」との大方針を語った。バスや鉄道といった枠にとらわれず、必要な交通手段を組み合わせて安心・快適な移動を創造していく会社ということだ。

実際、ウィラー・グループでは5年後の姿として、バス・鉄道のほか、飛行機やタクシーも含めた交通機関を順次容易に乗り継いで移動できるようにすることを目指している。まずは国内の移動を優先しているが、海外も視野に入れている。実際に今年9月には、台湾の高速バス大手である國光汽車客運と提携して、相互に誘客をする事業を始めている。

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