韓国・李明博大統領−就任100日で迎えた政治的危機

最高の得票率で当選した韓国大統領が、わずか100日で10%台という過去最低の支持率にあえいでいる。李明博(イ・ミョンバク)大統領が、思いもよらなかった試練に直面している。

ソウルをはじめ、数千人規模のデモが始まってからすでにひと月。混乱の責任を取ろうと大統領府の首席秘書官や内閣の全員が辞表を提出したものの、事態は沈静化する兆しもない。4月の総選挙で選出された国会議員にとって初の国会も、反政府集会を背景にした統合民主党を中心とする野党の反対で開催できず、国政が麻痺状態に陥っている。

5月初旬に始まったデモや反政府集会は大統領府に近いソウル中心街をはじめ全国で数千人単位で続いている。これら集会の発端は、4月、李大統領の訪米にまでさかのぼる。

BSE(牛海綿状脳症)対策として2003年から実施してきた米国産牛肉の輸入制限措置を段階的に撤廃することを発表、これを4月19日の韓米首脳会談でブッシュ大統領に告げた。

この発表は07年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権時代に合意した米韓FTA(自由貿易協定)の国会での批准を促進するはずだった。「FTAの拡大・促進」を大統領選での公約として掲げて当選した李大統領にとっては、ごく当然な発表だったのである。

ところが5月に入ると、「韓国人はBSEにかかりやすい」といった専門家の不確かなコメントをはじめ、米国産牛肉に対する不安感をあおるような報道が一部メディアを通じて拡散。これに呼応するかのように市民団体などが抗議活動を呼びかけたことが、現在の大規模デモや反政府集会に発展していった。

当初は、10年続いた左派・革新政権が崩壊し、急速に支持を失ってきた左派・革新勢力が、BSE問題に乗じて自らの存在を誇示するための政治的な行動に過ぎないと考えられていた。

しかし、日増しに外へ出てデモに参加する市民たちが急増しており、政府はこの段階で事態の本質を見誤っていたのだろう。

牛肉はきっかけ、本質は経済政策への不満

ではなぜ市民たちが抗議活動へと駆り立てられたのか。参加者の大部分は、政府への抗議活動は牛肉だけではなく、「経済」に対する無策と、国民をないがしろにした現政権の態度が問題なのだと口をそろえる。

1970年代から、「漢江(ハンガン)の奇跡」と言われた韓国の高度経済成長時代の一翼を担った現代建設の社長、会長を務め、「経済大統領」「CEO大統領」をアピールし、07年12月の大統領選を制した李大統領。盧武鉉前政権時代を「失われた5年」と称するほど失望と落胆を感じ、経済回復を熱望していた韓国国民にとっては、いわば“希望の星”だった。ところが、国民の目に見えるような経済的成果がない、と批判しているのである。

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