イタリア首相辞意表明、「敗北は極めて明確」 国民投票で憲法改正案が否決
[ローマ 5日 ロイター] - イタリアのレンツィ首相は、4日に実施された国民投票で、自身が提唱した憲法改正案が否決されたことを受け、辞意を表明した。
就任後わずか2年半での退陣は、さまざまな困難に見舞われている欧州連合(EU)に新たな打撃となる。
ユーロ<EUR=>は対ドルで一時1年8カ月ぶりの安値をつけた。イタリアの政局不安が国内銀行セクターに打撃となる恐れがあるとの懸念が高まった。
レンツィ首相は、テレビ中継された演説で、「極めて明確」な敗北の責任をとるとし、「わが政権はこれで終わる」と述べた。
首相は、5日午後に閣議を招集し、その後マッタレッラ大統領に辞表を提出する方針とした。
最終開票結果は改憲への支持が40.9%、反対が59.1%となった。
レンツィ首相の辞任により2018年に予定されている総選挙が来年に前倒しされ、反ユーロを掲げる「五つ星運動」が政権を握る可能性がある。
五つ星運動の首相候補であるルイジ・デマイオ氏は「あすからわれわれは将来の計画の策定と未来の政府を担う人材の選定に取り組む」と表明した。
世論調査では与党民主党と五つ星運動がほぼ互角となっている。
大統領は新たな首相を指名する前に各党の党首と協議を行う。新政権は新たな選挙法の制定に取り組むことになる。
41歳のレンツィ首相は政界の反主流派として登場し、時代遅れのイタリアを刷新し硬直的な官僚制度を破壊すると訴えて2014年に就任。だが、これまで行った改革の成果は限られる。上院の権限を大幅に縮小して法案の成立を加速するための憲法改正が可決されれば最大の達成になるはずだった。
憲法改正案の否決により政局が混乱すれば、大手モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)<BMPS.MI>の再建が困難になり、政府の介入が必要になる恐れがある。ほかにも資本不足の銀行が存在するため、負の連鎖に対する不安が強まっている。
レンツィ首相の後継候補のひとりと目されるパドアン経済相は2日、憲法改正案の否決された場合、「48時間程度の混乱」はあっても金融市場に「地震」が起きる恐れはないと強調していた。
*内容を追加します。
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