日本株は「イタリア国民投票後」どう動くのか 日経平均株価は一時的に600円程度の下落も?
今年もあと1カ月を切ったが、12月5日以降の日本株はどうなるだろうか。
先週(11月28日-12月2日)の日経平均株価は、終値ベースで年初来高値を更新する場面も見られたが、高値圏で失速するなど、買いの勢いはやや後退した格好となった。銀行株になお投資資金が流入した一方、先物では高値圏で売り崩すような売買フローが観測された。「買い一辺倒」だったこれまでの流れとは、明らかに変化した様子だ。
市場では、イタリア国民投票に対する警戒感が強まっている(投票は現地時間4日の7時から23時。時差は8時間なので開票は日本時間5日朝7時から)。6月の英国による欧州連合(EU)離脱、11月の米大統領選挙でのトランプ次期大統領誕生と、今年の東京市場は2回も政治的なイベントで猛烈な株安、円高相場を体験した。「3回目の急落」を警戒する声も多いが、結論から言えば、イタリアの国民投票の影響を受けて、仮に日本株が急落となった場合、今年最後の買い場がくるのではないかと筆者は考える。
米雇用統計の結果で、ドル買いの勢いが止まった
その前に、まずは東京時間2日の22時30分に発表された11月の米雇用統計の内容を確認したい。失業率は4.6%と予想外に10月の4.9%から低下し、2007年8月来の低水準となった。非農業部門雇用者数は、前月比+17.8万人と市場予想(同+18.0万人)とほぼ一致。ただ、10月分は同+14.2万人と同+16.1万人から下方修正されたほか、平均時給は前月比‐0.1%と、予想外に2014年12月以来のマイナスに落ち込んだ。また、前年比では+2.5%と、予想外に10月2.8%から低下し8月来の低水準となった。
失業率はポジティブだが、平均時給がネガティブ、非農業部門雇用者数はトントンとなったことから、「差し引きはニュートラル」といったところだ。この発表を受けて、為替市場では、ドル円相場は114円05銭から113円48銭まで下落した。雇用統計が出る前に7-9月期GDP改定値、ADP雇用報告、ISM製造業景況感指数などの指標がそろって市場予想よりも上振れたことから、期待感が高まっていた市場からすると、雇用統計の結果は「あれ?」といった状況だったのだろう。
すでに、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が算出する12月利上げの可能性は97.2%(東京時間3日朝時点)と異常な高さを維持している。12月利上げのシナリオは崩れていないが、11月の雇用統計は、ドル買いで前のめりとなっていた市場に冷静さを求めるような内容となった。
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