学生と社会人の「コミュ力」、3つの決定的違い

背景も価値観も異なる人と、つながるために

社会人に必要なコミュニケーションスキルは、学生のそれとは違う(写真:Rawpixel / PIXTA)
私はコンサルティング会社に在籍した12年以上にわたる期間、大企業・中小企業をあわせて1000社以上を訪問し、そこで働く8000人以上の人々を見てきた。
マスメディアや本、ネットには「偉大な成功者たち」のエピソードが数多く並んでいるが、長く働くうち、「偉大な成功者たち」に関するエピソードよりも、身のまわりにいる、普通の人々に学ぶことのほうがはるかに多いことがわかった。だから、私の紹介する話は普通の方々が悩んで出した結論や、必ずしも成功とは言えない体験談、現場での素直な感想などである。
一度に大きな変化を起こすことは誰にもできない。何かを成し遂げようとするならば、それなりの準備や時間をかけて物事に取り組む必要がある。この連載の目的は、そのような方々の一助となることである。

社会人と学生は違う、といわれるが

ある会社で「コミュニケーション力向上」の研修が行われた。

経営者が、「学生の考えるコミュニケーション力」と、「社会人の考えるコミュニケーション力」のギャップを強く感じていたからだ。学生の思うそれは、「友達を笑わせる」であったり、「一緒にいて会話が弾む」といった、初歩的なコミュニケーション力に限られていた。

したがって、この研修の目的は、新人に手っ取り早く、あくまで「社会人のコミュニケーション力」をつけてもらうことにあった。では、「学生のコミュニケーション」と、「社会人のコミュニケーション」の本質的な違いは何か? それは次の3つに集約される。

1. 上下関係が存在するコミュニケーション
2. 受け手が支配するコミュニケーション
3. 要求を含むコミュニケーション

まず、「1. 上下関係が存在するコミュニケーション」。

学生同士のコミュニケーションは対等な関係であることが多い。だが、会社においては上下関係に基づくコミュニケーションが基本である。たとえば上司と自分、顧客と自分などである。

次に、「2. 受け手が支配するコミュニケーション」。

学生同士のコミュニケーションは基本的に発信者が主であり、受け手は従である。つまり、「自分が言いたいことを言い合う、話が合えばコミュニケーションが成立。合わなければ友人にならなければ良い。」というコミュニケーションである。

しかし、会社においてはそうはいかない。相手が誰であろうと、受け手に合わせるコミュニケーション、すなわち受け手が支配するコミュニケーションの技術が必要とされる。

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