韓国・朴槿恵大統領、往生際の悪い退陣表明 「進退は国会に任せる」と最後までしがみつく

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仮に弾劾訴追案が成立した場合、憲法裁判所によって弾劾裁判の判決が出るまで職務停止となる。憲法裁判所は180日以内に審判を行い、裁判官の3分の2以上の支持があれば弾劾が成立し、大統領は罷免される。大統領の職務停止中は、国務総理(首相)が権限を代行する。罷免後は、60日以内に大統領選挙を行い新大統領を選出する、と憲法で規定されている。

弾劾訴追案が成立しない場合、朴大統領が任せるとした国会の動きがさらに複雑・不透明化するだろう。「大統領の即刻辞任」を求める決議案のようなものを国会で決議するのかどうか、大統領の突然の一手に困惑を隠せない状況だ。

 

「自分の周囲を管理できなかった」

今回の談話は、事実上の辞任宣言と受け止められている。しかし、素直に受け止めないほうがいいだろう。自らの退陣スケジュールを国会が決める時まで、継続して大統領職に居続けようとする意図があるとも取れる。弾劾訴追案が成立しても成立しなくても、2018年2月の任期を考えると、野党や国民が望む「即刻辞任」までには時間が長過ぎる。

朴大統領は今回の談話で「一時でも自らの私的利益を追求したことはなく、私心も抱くことなく、生きてきた。ただ、自分の周囲をきちんと管理できなかったことは、私の大きな過ち」と述べた。疑惑は今後も否定していくつもりなのだろう。

「自分はすべてを国会に託した」との言葉をもって、朴大統領は談話を締めくくった。政権の空白と混乱に対し、朴大統領は結局、何をしたいのだろうか。 

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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