「計画倒れに終わる人」は時間管理が甘すぎる やるべきことに集中するための3原則

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このようにいずれも「将来、大きなリターンが期待できるもの」だ。緊急性だけで、第Ⅱ事象を切り捨てると決めてしまうと、例えば「勉強する」「スキルを磨く」「鍛える」といったあらゆる自己研さんのためのタスクが切られてしまう。

とくに仕事の生産性を上げるタスクは、中長期的に考えれば絶対にプラスになることは理解できるだろう。高速でブラインドタッチができるようになれば一生で何千時間も浮くのに、真剣に鍛えようとする人が少ないのは、それだけほとんどの人は緊急性の高いタスクに振り回されている証である。

よって、第Ⅱ事象はできるだけ削らない前提で策を練ってほしい。それよりもむしろ、第Ⅰ事象(重要・緊急)のタスクで他人に振ったり、協力を得たりできないかを検討するほうが現実的である。

「時間圧縮」のためにルーチンを見直す

無駄を省き、タスクの入れかえも行なって時間がないなら、最後は「時間の圧縮」である。

このとき再度役に立つのは「捨てる」ステップで行った既存の仕事の洗い出しだ。それらの仕事のなかで「より短い時間で終わらせる方法はないか?」と考えるのである。このあたりは生産管理に携わる人は詳しいだろう。大量生産を行う工場などでは、秒単位で工程を計測し、徹底した合理化を目指す。

そこまでの緻密さを追求する必要はないが、例えば一日に何度も別フロアにあるコピー機まで歩いているとしたら、「一気にまとめてやろうかな」といったレベルの時間圧縮なら考えられるはずだ。毎日、何の疑問も抱くことなく続けているルーチンのなかにこそ非効率なものが潜んでいる。

一例を挙げれば、1日に約50件のメールを受信する私の場合、1週間のうち「メールチェックと返信」に費やす時間は5時間近くあった。

これはもっと削れるのではないかと思い、件名だけで見るべきかどうかを判断するようにしたり、(基本ではあるが)返信する際の定型文の辞書登録を増やしたり、工夫をこらしてこれを3時間分圧縮することに成功した。

ルーチンを短縮できれば年間ではかなりの時間を捻出できる。スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが同じ服を着るのは毎朝の服選びで迷う時間を圧縮するためであることは有名な話だ。男性のベンチャー企業経営者のなかには、髪を乾かしてセットする時間を圧縮するために坊主にしている人もいる(「圧縮」というより「捨てる」行為だが)。ちなみに1日15分圧縮できれば、365日で延べ91・25時間の節約ができる。

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