「計画倒れに終わる人」は時間管理が甘すぎる やるべきことに集中するための3原則

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先ほど「重要・非緊急」領域の重要性と、いかに緊急領域に振り回されやすいかについて触れたが、PDCAを確実に、かつ複数を同時に回すためには、どうしても後回しになりがちな「重要・非緊急」領域をいかに遂行できるかが大きな鍵を握る。その方法は大別して2つある。

「重要・非緊急」領域を実行する方法

1. 仕組み化し、日常生活に組み込む

タスクだと思うから天秤にかけるわけであって、それをなんらかの形で仕組み化して、できれば普段の生活のなかにビルトインして、最終的には習慣にしてしまえばいい。最初は自己ルールとして強く意識する必要があるが、慣れてしまえば大した苦にはならない。

かつて私がビジネススクール留学を目指して英語の勉強を課題に掲げていたときは次のような工夫(仕事)をしていた。

英語の勉強を生活に組み込んだ実例
・携帯やパソコンのOS設定を英語に変えた
・情報源の約半分を英語に変えた(ウォールストリートジャーナル、ファイナンシャルタイムズなどを購読。スピードは落ちるが効果は抜群)
・英語のできる友人であれば日本人同士でもコミュニケーションを英語に変えた
・スケジュール帳を英語で書くようにした
・社内研修の感想文を英語で書いた(人事部からは怒られたが)
・聞く音楽を邦楽から洋楽に変えた

 

「生活にビルトインする」とは、まとまった時間を用意して机に座って取り組むという正攻法以外の仕事を考えることである。

あまり強制感があったり、あきらかに日常生活に支障を来したりするような自己ルールだと逆にモチベーションが下がるので注意したい。もっとも大事なことは継続することなので、まずは気軽にできそうなことから始めるといいだろう。

2. 強制的に「緊急領域」に移動する

これは今でも多用するテクニックである。「重要・非緊急」を「重要・緊急」にしてしまうのである。

例えばデジタルメディアの知識をつけたいと思ったら、私はそのテーマでセミナー登壇の予定を入れてしまう。

『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

もちろん、セミナーではなく、そのテーマで会議を予定してしまうことでもいいし、個人であれば「1週間後に、勉強したことをまとめてブログにアップする」とブログ上で宣言してしまうことでもいい。とにかくその期日までに自分が成果をアウトプットできるレベルになっておかないとマズイ状況を無理やり作るのだ。

資格試験などであればさっさと申し込んでしまうのもいいだろう。受験日は変わりようがないし、受験料も払っているので勉強の優先度を上げざるをえない。

ちなみに英語を真剣に勉強したいならTOEICよりTOEFLのほうがおすすめだ。TOEICは6000円弱で受けられるので「ダメならまた受ければいいや」と自分に言い訳がしやすくなるが、TOEFLは230ドルかかるのでがぜん本気度が増す。

冨田 和成 ZUU代表取締役

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とみた かずまさ / Kazumasa Tomita

神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。金融経済メディア「ZUU online」を含む資産運用の総合プラットフォーム運営、月間訪問者数は650万人を超える。金融機関や不動産業界のフィンテック化の推進支援や企業に対して鬼速PDCAシステムを導入する鬼速PDCAエンジニアリング事業を展開。監査法人トーマツ主催「日本テクノロジー Fast50」にて2年連続上位受賞(2016年度日本1位・アジア太平洋地域8位、2017年度日本3位)。2018年6月、設立約5年で東京証券取引所マザーズ市場に上場。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』(クロスメディア・パブリッシング)、『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』(ダイヤモンド社)、『稼ぐ人が実践しているお金のPDCA』(KADOKAWA)など。
ZUUonline:https://zuuonline.com
DAILYANDS:https://daily-ands.jp/

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