テレビ朝日のスポット広告がフジを抜いた! 開局以来初の2位、首位日テレを追えるか

拡大
縮小

一方のフジテレビは若者向けを中心に番組を編成しており、「恋仲」「好きな人がいること」といったドラマは若者を中心にSNS上で話題になった。視聴率が苦戦する中でも「若者の支持を得られている」として、広告主から一定の評価を得てきたと言えるだろう。

ただし、視聴率低下に歯止めが効かないフジテレビと比較して、テレ朝は視聴率2位を維持。看板番組の「報道ステーション」においても、若い世代に見られるようにリニューアルしてきたことなどで、徐々に広告費のシフトが進んだと考えられる。

10月開始の番組は好調な視聴率

今後もこうした傾向は続くのか。足元のテレ朝の視聴率は堅調だ。10月以降は安定した人気を誇る定番シリーズ「相棒season15」「ドクターX~外科医・大門未知子~」「科捜研の女」が一斉にスタート。特に、半年間放送する相棒と、ドクターXは好調な滑り出しとなった。こうした背景から、スポット広告も前年を上回る推移が続く。

厳しい競争環境を認識しているせいか、早河会長は開局以来の快挙にも喜ぶ様子を見せなかった(撮影:ヒダキトモコ)

今後もサッカーW杯ロシア大会のアジア最終予選や野球のWBCを控えるなど「下期は強力な大型スポーツ番組が目白押し」(早河会長)。少なくとも今期の広告収入は良好な結果が見込めるだろう。

ただし、首位を走る日テレの背中は遠い。同社は好調な視聴率を背景に、スポット広告は過去最高を更新し、民放におけるシェアも年々上昇し続けている。もちろん、起死回生を図るフジテレビを筆頭に、TBSテレビ、テレビ東京もそれぞれ改善を重ねている。

テレビ広告費がなかなか伸びない中、広告主から高い評価を勝ち取るには、日々番組内容を改善し、ライバル局に打ち勝つヒット番組を提供し続ける必要がある。今回快挙をとげたテレ朝とはいえ、油断は許されない。

田邉 佳介 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT