職場でのカミングアウトは「両刃の剣」? 円滑なカミングアウトは企業にとってプラスなのか?

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「うちの会社にはLGBTはいないから、LGBT対応は必要ないのです」

これは、某大手企業の人事部長の言葉です。このように思う方は、日本では決して少なくありません。しかし、この会社は数万人規模の会社であり、LGBTは人口の5%程度(2012年、電通総研)ですから、統計的に考えても、いないはずがありません。LGBTは職場にいないのではなく、職場でカミングアウトできずにいるのです。むしろ、こうした会社でこそ、何らかのLGBT対応が必要なのではないかと思います。

さて、前回に引き続き、虹色ダイバーシティが実施したLGBT当事者向けの職場環境に関するアンケート調査(2013年2~3月実施、回答数1125人)の結果をご紹介したいと思います。

約半数が差別的な言動を経験

<差別的な言動>

「職場で差別的な言動を見聞きしたことがありますか?」という問いに対して、「ある」「よくある」との回答がLGBT全体で47.7%、約半数でした。一方で「まったくない」と回答したのはたった6.5%です。

あわせて仕事の「やりがい」を感じるかについても質問したところ、やりがいを「強く感じる」「感じる」と回答した割合は、差別的な言動が「まったくない」と答えた人で7割程度だったのに対し、差別的な言動が「ない」「普通」「ある」と答えた人では、その割合がどんどん低下し、「よくある」と答えた場合では約4割でした。つまり、LGBTが差別的な言動があると感じる職場ほど、仕事のやりがいを感じにくいのです。

海外の調査で「LGBTであることによるストレスがあると、仕事の生産性が低下する」というものがありますが、日本の職場でもまさに同じ状況であると考えられます。

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