「外国人社長を任命したが監視をするのは日本人です」−−出原洋三 日本板硝子会長(次期取締役会議長)

「外国人社長を任命したが監視をするのは日本人です」−−出原洋三 日本板硝子会長(次期取締役会議長)

日本板硝子の社長にスチュアート・チェンバース副社長が昇格する(6月27日付)。英国人のチェンバース氏は、2006年に買収した英ガラス大手、ピルキントン社出身だ。日本板硝子は売上高2倍のピ社を約6000億円で買ったことで、「小が大をのんで」一挙に旭硝子、仏サンゴバン社と並ぶ板ガラス世界首位級に躍り出た。ところが世紀の買収は2年後、買った会社の社長が降りて、買われた会社のトップが社長になる事態となった。そこに何があったのか。買収と今回の人事を主導した出原洋三会長(6月27日付で取締役会議長就任)とチェンバース次期社長に、社長交代と日本板硝子の行方について聞く。

--今回のチェンバース氏の社長昇格人事を見て、2年前の買収の時に小が大をのみ込んだと言われたが、結局は大にのみ返されたのではないか、との見方があります。

社長をピルキントン出身者にした、というだけで皆様方は、逆買収されたんじゃないか、と単純な考えを持っておられる。われわれは大事なことはガバナンス(企業統治)だと思っているわけです。

確かに買収したんだから、日本人が社長になれば、外から見たらすごくわかりやすい。しかし大事なことは、ピルキントン買収で29カ国に拠点を展開するようになった日本板硝子をマネジメントできるのは誰か、ということです。従業員が一挙に3倍の3万数千人になった日本板硝子を管理できるか。日本人も含めて誰がいちばんいいだろうか、と考えていくと、残念ながら日本人の中にそれだけの経験を持っているものがいない。極めて慎重にベストの人材を探していくと、少なくとも日本や東南アジア以外でやってきたピルキントンの社長にやらせるのがベストだ、ということで選んだ。

ただ、社長になったからといってチェンバースに好きなようにさせるのではなく、日本板硝子は日本で上場している企業です。そこはやはり日本的な経営の考え方を採り入れないといけない。その一方でグローバルという考え方を推し進めないといけない。そこで、ガバナンスをキッチリやろう、と6月から委員会設置会社にするわけです。

委員会設置会社にしますと、役員の任命は指名委員会に権限があり、社長はタッチできない。指名委員会の委員長は私です。役員の報酬も報酬委員会が決める。監査委員会は役員会の運営その他、会計監査だけでなく、業務監査も含めて権限があります。社長の監視役として三つの委員会が、従来に増してガバナンスを働かせることが可能になる。

取締役会の構成も12人のうち4人が社外。残る8人のうち3人は社内の非執行です。非執行というのは仕事に携わらない、監視役に徹する。その3人とは私と阿部友昭副会長と今度会長になる(6月27日付)藤本勝司社長です。この3人と社外の4人と合わせると7人が非執行になり、5人が執行になる。したがって7対5で執行に対して目を光らせます。取締役会で社内から監視し、指名、監査、報酬委員会で外からも監視して、キチッとガバナンスを効かせる。

--監視に徹する非執行の7人はすべて日本人ですか?

1人だけ外国人。社外取締役にケンブリッジ大学ジャッジ経営大学院シニア・フェローのジョージ・オルコット氏。彼は日本型生産システムの権威で、むしろ英国人として日本型経営のいいところを執行に伝えてほしいと期待しています。

--日本型経営のいい点とは?

まず長期的視点ですね。外国人の経営者は総じて視点が短い。理由の一つは投資家が短期で見るから。二つ目は予算を達成したかどうかで給料が決まるから。三つ目はよい仕事をして次の仕事に変わっていきたい、と考えている。ずっと同じ会社にいたい、という人は必ずしも多くない。それが日本の経営者と決定的に違うところです。われわれが2年前の買収時に作ったのが10年ビジョンでした。最初の4年間は借金を返す。基礎的な技術とか生産性を世界一にする。これがフェーズ1。次の3年は板ガラスで成長発展する。今の主力事業です。最後の3年は違う新しい事業を作ろう。板ガラス1本じゃ危ないから、柱を2本、3本作ろう、と。フェーズ3は違う事業ですから、今から準備しないとできません。ピルキントン出身者に任せきりだと短期だけで物事を判断しかねない。

--フェーズ3は今から種をまかないと実らないと。

ええ。もちろん短期の視点、株主重視も大事です。長期と短期の二つの視点で経営をやっているか、監査委員会や取締役会で見ていきます。

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