富士世界遺産、大本命企業の“自負" 設立以来90年近く富士山に密着

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富士急の富士山駅(旧富士吉田駅)。富士急の鉄道車両6000系(冒頭写真右側)とともに、水戸岡鋭治氏によるデザイン

高速路線バスについては、共同運行はあるが、競合する会社はほとんどなく、富士山への観光需要が高まれば、当然、富士急では大きな増収効果が出るものとみられる。また、富士山エリア内の路線バスについても、山梨県側・静岡県側ともほぼ独占的に運行。5合目までのマイカー規制が行われる夏場を含めて、シャトルバスの運行も行っている。

富士急が富士山関係で強みを持つのは、鉄道やバスといった運輸事業だけではない。同社は創業当時から、富士山エリアでの不動産開発にも早くから手掛け、山中湖畔を中心に富士山南側の静岡県裾野市などでも、別荘地の開発を進めている。

別荘地や「ハイランド」でも稼ぐ

ホテルやレジャー施設にも力を入れており、1961年には現在の「富士急ハイランド」の前身となる富士五湖国際スケートセンターの営業を始めた。富士急ハイランドでは、「FUJIYAMA」や「高飛車」といったジェットコースターや、「戦慄迷宮」などのホラーハウスなどのアトラクションを次々に開設し、「恐怖・絶叫系遊園地」の代名詞としてその地位を築きあげた。

戦前から売られている富士ミネラルウォーター。スタバなどで買える

また、戦前から続く「富士ミネラルウォーター」も、富士急傘下の企業が富士吉田の地下水を汲みあげて製造しているもので、スターバックスなどで販売されている。

これまでも、富士山を最大限活用してきた富士急。さらなる需要の掘り起こしを図るための取り組みにも抜かりはない。

2011年7月には、富士山に一番近い駅をアピールするため、富士吉田駅を「富士山駅」に改名。JR九州の観光列車などのデザインを手掛けている水戸岡鋭治氏に、駅舎のリニューアルを依頼した。文字どおり富士山の玄関口となるよう、高さ7メートルの大鳥居を入り口にした斬新な駅舎を作り上げた。さらに、富士登山電車や6000系といった車両も、水戸岡デザイナーの手で改装されている。

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