株価乱高下の犯人はヘッジファンドじゃない ぐっちーさんが読む、ちょっと先のマーケット

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「ヘッジファンドが相場を吊り上げた」という幻想

さらに性質が悪い報道が、日銀が「バズーカ砲」で打ち込んだ緩和資金を彼らが使ってマーケットを吊り上げ、利益を確定したという話ですが、もうばかもいい加減にせい、というレベルの話でこれは東京スポーツなみに冗談がきつい(笑)。

いいですか、ヘッジファンドがインターバンクから直接おカネが取れるんですか?彼らは日銀の供給対象ですか?違うでしょう。

彼らはおカネを得るためには、それらにアクセスのある日本の金融機関からおカネを借りなければなりません。だからこそ、今ならおカネが余っている日本の金融機関は俺たちにも貸してくれるかもしれん、と甘いことを考えて、雁首並べて日本に来てるわけです。

じゃあ、日本の金融機関がヘッジファンドにコーポレートファイナンスをだしますか? ローンを貸しますか? まして出資しますか?

有り得ません。ヘッジファンドへの貸し付けは無格付け会社に対する貸し付けとなりますので、プロの方はご存じのようにリスクウェートは300%は必要でしょう。つまり100億貸したら、一方で300億円の貸し倒れ引当金を積まねばなりません。こんな非効率な融資を日本の銀行がする訳ありませんよね。アメリカの銀行ですらリスクが高すぎるといって貸さない相手にどうして貸すんでしょうか。意味がわかりません。

大量にレバレッジをかけてマーケットを席巻してきたヘッジファンドの時代は完全に終了しているのです。ブラックロックが世界最大の運用資金370兆円を抱えるといいますが、彼らがその中で値動きの激しい株に投資できる金額などごくわずか。そのほとんどはより安定した商品に投資されており、日本株のこんな鉄火場に出てくる玉ではありません。ですから、ヘッジファンドなんて言葉に騙されてはいけませんよ。実際には日本株は全然違うプレーヤーが相場を動かしているんです。

次ページさて、ちょっとここで岩手県のはなしを
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