セブン−イレブンが中国で本格FC展開、激戦区「上海」で攻勢

セブン−イレブンが中国で本格FC展開、激戦区「上海」で攻勢

セブン&アイホールディングスは、中国におけるコンビニエンスストア「セブン-イレブン」の店舗展開を加速する。4月に設立した現地会社、セブン-イレブン中国を通じて台湾の食品大手、統一超商に上海地域のFC(フランチャイズチェーン)ライセンスを付与する。年内にも1号店を出店する見通し。FC運営による収益確保にメドがついたことや現地事情に詳しいFC企業による出店で店舗数の急拡大を狙う。今後は沿岸部を始め、成都など西部地域にも出店を進める方針だ。

世界中に広がる他地域のセブン-イレブンは、米国のセブン−イレブン本社主導によるものだ。90年代後半、日本セブンは米国セブン本社支援を優先していたため、海外ライセンス展開は時期尚早、という考え方だった。しかし、米国の業績も順調に回復し始めた2000年ごろから、鈴木敏文セブン&アイHLD会長も「海外の検討をしてもいい」と方針を転換し始める。背景にあったのは国内市場の伸び悩みだ。既存店売上高が下落をはじめたのも00年からだ。

日本主導の海外FC出店に関し、条件として掲げられたのは「セブン- イレブンのイメージ、サービスを一定の水準に保つこと」だった。実験の地に選ばれたのが北京。中国の本格展開に備え、中国で「あるべきモデルを構築する」ことが課題だった。

北京で現地企業と合弁会社を設立し、まず直営店展開を始めたのは04年。商品面は現地にカスタマイズしながらも、物流網の構築やドミナント出店、ファストフード充実など「日本流のコンビニモデル」を基盤とした展開を進めた。日本と異なる「中国のオリジナルコンビニモデル」は店内調理だ。温かい物を好む傾向が中国の消費者の志向に合わせて1号店から導入している。厨房で10種類ほどのできたて総菜を調理して、ごはんとスープのセットで販売する。おでんは串ものを中心に日本の数倍の売り上げを記録している。おにぎりやサラダなど当初は見向きもされなかった商品も徐々に浸透していった。現在、1日の平均売り上げは2万元(日本円で約30万円)までに成長。日本に比べれば半分程度の水準だが、上海で先行する他日系コンビニの2~3倍に及ぶ、という。

FC展開において重要となるのが粗利益率だ。コンビニのFC契約は、本部とFCで粗利益を分配する仕組みをとる。そのため、採算の良いファストフード商品の強化は、粗利益率向上に欠かせない。店内調理品やおにぎりなどが浸透していくにつれ、粗利益率も上昇し、現在30%台に達している。地元商店の平均的な粗利益率は、13%程度。30%に達すれば本部とFCで分配しても地元並みの利益を確保できる計算になる。直営店における4年の試行期間を経て、今回ようやくFC展開が可能な水準に届いた、というわけだ。

FC本格展開を決断した理由はもう一つある。不動産価格の急上昇だ。上海では家賃の高騰やインフラ整備の難しさなどで、先行するローソンやファミリーマートも苦戦を強いられている。こうした課題に対応するため、実績があり、現地不動産ノウハウを持つ統一超商にFC権を付与した。直営では難しい出店加速と収益拡大、現地化、という条件を整えた。

国内は既存店売り上げの減少に歯止めがかからず、飽和感を払拭できない。大手各社の新規出店は続き、店舗数も4万店を突破している。業界1位といえども、海外に視野を広げなければ成長は望めない。今後の海外展開では「中国が最重要地域」(セブン幹部)と位置づける。先駆けの地となる上海で利益を生み出し、成長性を描けるか。4年間で磨いた「北京モデル」が試される。
(田邉 佳介 =東洋経済オンライン)

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