欧州式で本当に育児時短問題を解決できるか ガラパゴス化している、日本の女性活用【第5回】

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社員の短時間労働を支える制度や仕組みとして、業務形態は、複数の人員で共有化し、人員を増やすことにより対応する、「多様就業対応型ワークシェアリング」を導入。これにより、たとえば8時間かかる仕事を3人で行っていた場合、1人増やして4人にすることで、1人当たりの労働時間を6時間に減らすことができる。

徹底している「同一労働、同一賃金」制度

また、一般的に企業では、正社員は月給制、パートタイマーは時間給制だが、同社では、正社員とパートタイマーの仕事内容と賃金格差を是正するため、同一労働同一賃金のコンセプトで「全社員時間給制度」を導入している。

全社員時間給制とは、社員が働いた時間と仕事内容を換算した実績で報酬を受け取る制度で、実績ベースの給与体系だ。繁忙期や緊急時に仕事をしたときはポイントが付与されるなどの工夫もある。時間給は半年おきにレビューされ、新たな時間給が設定されることにより、不公平感なく社員のモチベーションを維持している。

また、出勤・退社時間や休日を、個人が自由に決めることができる自由出勤制度も革新的だ。出勤管理は1分単位で行われるシステムで、1日に複数回、出退勤できるため、子供の送り迎えなどに利用する社員が多い。

ほかにいくつもあるが、これらの制度や仕組みで、全社員が自己のニーズや要望に見合った労働時間で働きながらも、労働時間の柔軟性を上手に機能させ、高い生産性と業績を維持しているのである。

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