「24時間テレビ」は障害者をどう描いてきたか チャリティからバラエティへ?

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「かわいそう」「不幸」という紋切り型の語りに抵抗を覚えるという声もあがっている。写真は日本テレビ本社外観(撮影:吉野純治)
日本テレビ「24時間テレビ」は、年に一度の大規模チャリティ番組として、今年39回を数えた。その番組づくりは開始当初のものとはかなり変容してきている。
本稿では、番組の歴史をたどりながら、あるべき制作姿勢を問う。


「今年はおもしろくなりそうですよ〜」

オープニングアクトを務めた桂歌丸のこのフリから、39回目を迎えた「24時間テレビ 愛は地球を救う」(日本テレビ)はスタートした。

「24時間テレビ」といえば、おもにジャニーズ事務所所属のアイドルや旬のタレントがパーソナリティを務め、なかでも恒例企画「24時間チャリティマラソン」は大きな注目を集める。だが、今年はそうした芸能面的な話題ではなく、周知の通り「テレビ番組における感動ポルノ」という問題提起が同時進行で起こり、結果として「24時間テレビ」の姿勢にも改めて関心が向けられることとなった。

頑張っている障害者を「応援」するだけでいいのか

GALAC12月号の特集は「障害者に愛されるテレビとは!?」(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーの紹介サイトにジャンプします)

では、今年の「24時間テレビ」は、一体どのような内容だったのか。また、同番組は障害者をどのように扱ってきたのか、番組の歴史とともに振り返ってみたい。

まず、今年の番組テーマは、「愛~これが私の生きる道~」。番組HPによると〈“愛”に支えられ、強く前向きな、“生きる道”を選んだ人々にスポットを当て、「生きるヒント」と、「愛」と「幸せ」をもう一度考え直すきっかけを、お届けします〉とある。

実は例年、どんなテーマであろうと番組構成に大きな変動はない。スペシャルドラマや、深夜~早朝の「嵐にしやがれ!」「しゃべくり007」「有吉反省会」など日テレバラエティの特別版、高校生企画(一昨年までは「ダンス甲子園」だったが、今年はつんく♂を大会委員長にした「全国高等学校合唱選手権」)、女優による海外レポート、「チャリティ笑点」などといった企画はほぼ固定だ。

そこに番組中を通して行われるチャリティマラソン、日テレの人気番組「1億人の大質問!? 笑ってコラえて!」のスピンアウト企画「ダーツの旅的全国1億人インタビュー」、日本武道館で24時間をかけて何かを制作するコーナー(今年は「世界最大級の飛び出す絵本」)などが織り交ぜられていく。

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