私が「ネット証券業界はおかしい」という理由

松井証券・松井道夫社長インタビュー

「返済期限が当日なら、手数料ゼロ、金利・貸株料もゼロ~2%」。松井証券が業界の度肝を抜くような信用取引の新サービスを打ち出したのは、今年1月。アベノミクス相場は乱高下しているが、いちはやく相場の流れに乗ったことは間違いない。数々の新しいサービスを提供してきた、松井道夫社長に聞いた。
「当社の動きに、他社は追随できていない」。松井社長は戦略の優位性を強調(撮影:梅谷 秀司)

一度見た地獄は、もう味わいたくない

――取引高の急増を背景にして、最近、売買執行時間が遅延するなどの事態がオンライン証券で頻発していました。そのなかで、松井証券では、そうした事態が起きていません。なぜですか。

オンライン証券ビジネスを開始後間もない段階で、システムトラブルを発生させてしまった過去が当社にはある。キャパシティにかかわるシステムダウンだったが、最大の危機だった。そのとき、80有余年にわたる松井証券の歴史は終わったとすら私は思った。

トラブル処理として顧客との関係を修復するのに多大な労力を費やした。不眠不休の人海戦術で帳簿をひとつひとつ訂正し、半年後になんとか処理を終えた。そんなきわめて苦い経験を通じて、システムトラブルがいかに怖いものかを肌で感じたことが大きい。

システムトラブルの発生後、アプリケーションの性能改善やサーバーのキャパシティを向上させるなど試行錯誤を繰り返したが、最終的には主要部分はアウトソーシングした。その体制が現在まで続いている。オンライン証券を開始したとき、取引システムは自社開発だった。しかし、開発スピードの懸念などもあったので、上場した際に自社体制を取りやめた。アウトソーシングしないで自社開発体制を継続していたら、その後、いろいろな問題が発生していたにちがいない。

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