介護の世界から返り咲いた鬼才プロゲーマー 新世代リーダー プロゲーマー ウメハラダイゴ

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ウメハラ少年とゲームとの邂逅

「“神の手”とか”The Beast”(※米国でのあだ名)なんて言われていますけど、僕自身、『才能がある』なんて思ったことはないですね。それどころか、才能だけで言えば、上の選手は多くいます」。都内にあるウメハラの稽古場で行われたインタビューは意外な一言から始まった。

ウメハラ少年とゲームとの出会いは少年時代にさかのぼる。家庭の事情で青森から東京に引っ越してきたウメハラが、友達とのコミュニケーションツールに選んだのが当時のファミリーコンピュータ(ファミコン)だった。特に好きだったのが、今のウメハラが最も得意とする「ストリートファイターシリーズ」の第1作目だ。

「少年時代はガキ大将でしたね。運動もできたし、うちに来ればゲームもあって。みんなの中心にいました」

だが、ウメハラが中学に上がる頃になると、ファミコンブームも一時期の輝きを失う。追い打ちをかけたのが、1993年、Jリーグの設立。周りの友達は「俺はJリーガーになる!」「中学に入ったらサッカーをやりたい!」と一気にサッカーに流れた。ゲームが得意だったガキ大将はあっという間に独りになった。かつての友人たちが次々とゲーム以外に打ち込むものを見つけていく中でウメハラ少年は独り、置いてけぼりをくらった。

「たぶん人に合わせるのが苦手なんでしょうね。周囲が流行に飛びつき始めて、『お前らそんな簡単に流行に流されていいのかよ!』と思っていました。」

「こうなったら世界でいちばんゲームがうまいやつになってやろう」。半分、意地でゲームを続けようと決めたという。

周りが受験勉強を始めるのをよそに、ウメハラは独りゲームの世界にのめり込んでいく。好きこそものの上手なれ。とにかく打ち込むと決めたら徹底的にやり込んで上達を目指すのがウメハラの性分だ。

次ページ語り継がれる「ウメハラ伝説」
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