金利急騰!債券市場を破壊した黒田緩和 日銀は管理不能、高まるリスク

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つまり、銀行や保険会社のバランスシートの負債側(調達)が減っていない段階で、資産(運用側)を強引に債券からリスク資産へシフトさせるというのは非常に危険なことだ。これまで銀行や保険会社は株や外貨建て商品で多額の損失を出してきた。

預金や保険契約は守られなければならないもので、銀行や保険会社は支払い不能となることは許されない。また、そうした懸念が出てくれば、金融機関同士の取引がスムーズに行われなくなり、金融システム危機につながる。そのために、銀行や保険会社に対する財務上の規制はこれまで強化されてきた。

日本銀行法に定められた日本銀行の使命とは、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」と「金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資すること」である。黒田日銀は後者をないがしろにしていると批判されても仕方がない。
 

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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