トヨタとダイハツが「二人三脚」で狙うもの 新カンパニー発足で苦手分野を克服へ
「トヨタは小さい車づくりが苦手。新興国はダイハツの出番だ」
トヨタ自動車は今年8月、ダイハツ工業への出資比率を100%に引き上げて完全子会社化した。トヨタ幹部は春先、冒頭のように両社の連携強化の狙いについて語っていた。
そして10月4日、新興国戦略で両社が具体的なシナジーを生み出すべく、トヨタ社内において2017年1月をメドに「新興国・小型車カンパニー(仮称)」を設置すると発表した。新興国向けの(中国を除く)小型車について、商品企画は両社で手掛けつつ、開発や調達はダイハツに一本化する。生産準備もダイハツが担当し、実際の生産は両社の拠点を有効活用する。車両はトヨタブランドで販売していく。
新興国はダイハツに任せる
トヨタは今年4月にカンパニー制を導入した。「コンパクトカー(小型車)」「ミッドサイズヴィークル(乗用車)」「CV(商用車)」「レクサス(高級車)」という車のタイプごとに4カンパニー、技術・部品ごとに3カンパニーの、計7カンパニーに分けた。世界販売台数が年間1000万台を超えて大きくなり過ぎた組織を見直し、意思決定のプロセスをより簡潔にすることで「もっといい車づくり」を強化するのが狙いだ。
同じ小型車でもコンパクトカーカンパニーで手掛けるのは「カローラ」や「ヴィッツ」など先進国向け。新興国向けの小型車を担うカンパニーは空白になっていた。この部分をダイハツが担うことになる。
もっともこれは今年1月、トヨタによるダイハツの完全子会社化を発表した記者会見のときにも言及していた。トヨタの豊田章男社長は「(トヨタの課題だと認識している)新興国向け小型車をダイハツに任せていく」、ダイハツの三井正則社長も「新興国はダイハツが主体となって、ものづくりと事業を展開していく」などと説明していた。
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