北朝鮮高官2名「日本亡命希望」のインパクト 9月28日に北京の日本大使館と接触?

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金ファミリーの医療施設を管轄する高官が日本亡命を希望しているようだ(North Korea's Korean Central News Agency (KCNA) in Pyongyang on August 10, 2016. KCNA/ via REUTERS)

北朝鮮の高官が、日本への亡命を希望しているという。10月5日、韓国有力紙「中央日報」によると、北京駐在の北朝鮮代表部所属の高官2人が9月末、家族とともに脱北・亡命したと、北朝鮮消息筋の証言を引用、報道した。

報道によれば、「北京代表部の代表」という肩書きで活動してきた北朝鮮・保健省出身の高官A氏が9月28日、夫人と娘とともに北京の日本大使館側と接触、日本行きのための手続きを行っているという。このA氏は「日本に親戚がいる」と述べ、ソウルよりも東京に行くとの意思を示しているようだ。

金ファミリーの医療施設を管轄する高官

A氏は、北朝鮮の最高指導者である金正恩・朝鮮労働党党委員長とその家族を対象とする医療施設などを管轄する保健省1局出身。特に、金党委員長の健康や医薬品、医療機器の調達といった問題を処理してきた人物だと、この消息筋は説明する。また、A氏の行動と同時に、北京代表部の幹部であるB氏も家族とともに脱北、日本行きを希望していると消息筋は付け加えている。

北京には北朝鮮大使館が設置されている。今回日本行きを希望している代表部の幹事は、大使館所属の外交官ではないが海外に駐在し、貿易や経済関連の活動を担当している。中央日報は、韓国政府当局者の発言を引用、「北京は北朝鮮の特権層が最も住みたがる都市。北朝鮮外交の中心でもある北京で脱北や亡命が発生したことは、平壌当局も大きな衝撃として受け止めざるを得ないだろう」と述べている。

北朝鮮高官としては、今年7月末に駐英北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使が韓国へ亡命するなど、高官による亡命が相次いでいた。また最近、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は北朝鮮の高官が相次いで亡命している状況について言及、特に10月1日には韓国国軍の日を記念するスピーチの中で、「いつでも大韓民国の自由な場所に来てほしい」と北朝鮮国民に向けて発言、北朝鮮はこれに強く反発しているところだった。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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