なぜエジソンはウォシュレットを作れなかった?

日本企業再生へのヒントは問題発明にあり

 今、日本の電機メーカーなど苦境に立たされている企業も多いが、技術力のある日本企業は多い。技術力という資産を生かしながら、日本企業を再生させるにはどうしたらよいのだろうか?
 そのヒントとして、東海大学政治経済学部専任講師の三宅秀道氏は、技術論に頼らない製品開発論を主張する。三宅氏は、昨年発売された書籍「新しい市場のつくりかた」の著者であり、大小1,000社近くの事業組織を取材・研究から得られた考えをまとめ、文化開発の重要性を訴えている。技術に差がないときに、新しい市場をつくる方法を三宅氏が解説する。
 (当記事は、4月11日に開催された企業向けセミナー<主催:PR会社ビルコム株式会社>での講演内容をまとめたものです。

文化を開発すると、モノが売れる

以前、三菱重工業の宇宙航空部門の方にお会いしたことがあります。その際、面白い事例があると教えてもらった事例をお話しします。

JAXAの依頼で人工衛星の姿勢を制御する高性能なジャイロを開発しました。しかし、人工衛星での使用はそうたくさんあるものではなく、使用機会に困り果てていた際、ある会社から話が舞い込んできたそうです。それは、富豪たちを顧客とするイタリアの高級クルーザー会社からでした。彼らは地中海の港で停泊している際、船上でワインパーティを楽しむらしく、その際、注がれたワインがぴたりと静止していなければならないそうです。その状態を保つことができるのが、三菱重工業のジャイロだけだと言われたそうです。

もし、富豪たちが船上で優雅にワインを飲む文化、習慣がなかったとしたら、ジャイロの新市場は生まれなかったわけです。モノが単に高性能なだけでは、市場にはなりません。生き方、暮らし方といった文化の存在が重要なわけです。

この事例は、タイヤメーカーのミシュランがグルメガイドを出した事例に似ていると思います。まだ自動車が生まれたばかりの頃、ミシュランはフランスのお金持ちたちに、もっと車に乗ってもらいたいと思い、グルメ旅行のガイドを作りました。当時、おいしいレストランはホテルと併設されており、そのレストランを載せたガイドブックを提供すれば、車に乗ってもらう理由ができ、最終的にはタイヤを買ってくれるだろうと思ったわけですね。

このように新しい文化を開発すればこそ、新しい市場に商品が売れるわけです。

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