グリー、「長すぎる低迷期」から脱出できるか カギを握るのはヒット連発と「スマホの次」

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今年はネイティブシフトから2年経ち、新作を大量投入できる体勢が整った。前期の新規タイトル数は3本だったが、今期は8本程度の国内新作を予定している。今回の上方修正はその効果が結実したといえるだろう。

ただ、これで安心するはまだ早い。今回、売上高を149億円に上方修正したが、まだ前四半期(2016年4~6月期)の156億円を下回り、四半期ベースでは15期連続の減収と縮小傾向に歯止めがかかったわけではないのだ。底打ちを確かな形にするには、もう数本ヒット作を出す必要がある。

そこで重要になってくるのが人気キャラクターの知的財産(IP)獲得だ。業界では、スマホゲーム(スマゲー)市場の成熟化を背景に、IPを使ったゲームの開発を請け負い、手堅くヒット作を生む動きが広がっている。昨今の代表例としては、株式会社ポケモンと米ナイアンティックが共同で作った「ポケモンGO」が挙げられる。

ほかにもスクウェアエニックスの、「ドラゴンクエスト」、「ファイナルファンタジー」やバンダイナムコの「アイドルマスター」、「ドラゴンボール」などのIPを使ったゲームがランキング上位に顔を出している。有力IPを獲得しようとグリーのほかにもDeNAやサイバーエージェント子会社のサイゲームスなどがしのぎを削っている。

スマホの次はVRに照準

今回上方修正の要因となった「ソードアート・オンライン」もライトノベルやアニメで人気になった作品のIPを使ったものだ。IP獲得のため、グリーは9月15日、トレーディングカードゲーム大手のブシロードと資本提携した。ブシロードはアニメ製作の出資スポンサーも行っており、すでにアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」のIPを使ったゲームの共同開発も発表している。

スマゲーで復活を果たせれば、「その次」を見据えた種もまいていかなければならない。ようやくネイティブシフトの成果が出てきたとはいえ、スマゲー市場も成熟化が進んでいるからだ。

そこでグリーが注力しているのがVR(仮想現実)だ。実際にVR市場が立ち上がるのはしばらく先と見られているが、すでにVR専用の開発スタジオやVRベンチャーに投資をするファンドも設立している。さらに、スクエニとVRゲーム「乖離性(かいりせい)ミリオンアーサーVR」を共同開発している。また、アミューズメント施設運営のアドアーズと提携し、VR専門アミューズメント施設の開発も進めている。

グリーは、次なるプラットフォームと期待されているVRには出遅れまいと並々ならぬ力を注いでいる。浮き沈みの激しいゲーム業界にあって、かつての栄光を取り戻すことはできるだろうか。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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