「ローソン子会社化」に透ける三菱商事の事情 本気でテコ入れしなければならない

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新生ローソンはセブン、ファミマとどう伍していくのか

三菱商事が、ローソンを連結子会社化へ

今年6月、三菱商事出身でローソンの副社長だった竹増貞信さんが同社社長に昇格した。前社長の玉塚元一さんは会長職へ。それから3カ月。三菱商事とローソンをめぐる大きなニュースが、また飛び込んできた。現在、33.5%の株式を有する筆頭株主の三菱商事が、ローソンを連結子会社化するのだ。2017年1月に予定されているTOB(株式公開買い付け)を経て、三菱商事の出資比率は過半超に達する。買収額は約1400億円とみられる。

ローソンはもともとダイエーが設立、2000年から三菱商事がローソンに出資を始めた。もちろん、三菱商事の出資比率はすでに3割超なのでローソンの重要な経営事項に対する拒否権は持っている。とはいえ、今回の子会社化が実現すれば、三菱商事・ローソン連合はさらに密接な関係となり、業務改革のスピードアップも期待できるだろう。

ローソンは、三菱商事の持つ調達網を武器として、コンビニ業界で全面戦争をしかけようとしている。これまでローソンは大手・中堅との提携や買収を進めてきた。成城石井や、スリーエフにポプラ。異業種では、ユナイテッドシネマにHMVなどだ。ローソン・ブランドへの統一ではなく、それまでのブランドを生かした経営を進めてきた。

かつてローソンは「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」へとコーポレートフレーズを変更した。そこから、さらにターゲティングを先鋭化している。ローソンはヘルスケアローソンという概念を創り上げ、お客の健康をトータルで管理しようと目論んでいる。

通常のコンビニでは3000品の商品をそろえる。一方で、ヘルスケアローソンでは6000品をそろえる。その倍増する中身は医薬品などだ。加えて、日用雑貨や生鮮食品も増やす。それら、ヘルスケア関連商品に絶大なサポートを期待しているのが、親元である三菱商事だ。同社は調達網としてではなく、ヘルスケア企業を有す。よってさらに連携を深めることは得策だと判断したのだろう。

一方で三菱商事は、総合商社1位の座を伊藤忠商事に渡したばかり。グループ全体の改革は待ったなしの状況だ。もともと同社は強い食品調達網をもつ。多くの企業に出資したり、また三菱食品・伊藤ハムなども傘下に持ったりしている。三菱商事は、海外に豊富な販売・情報網もある。これをローソンと組み合わせれば進出国選定などにも有利になる。海外にも食品関連会社を多く有する。そして今回の子会社化の発表だ。

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