みずほFG、信託の差別化戦略とは みずほ信託銀、中野武夫・新社長に聞く

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今年4月から新しい中期計画が始動したみずほフィナンシャルグループ(FG)。「ワンみずほ」の掛け声の下、グループ一体運営を戦略の中核にすえる、今年4月から始動した新しい中期計画とともに、グループ主要企業の1社であるみずほ信託銀行の社長に、みずほ銀行副頭取だった中野武夫氏が就いた。
中野氏は、佐藤康博みずほFG社長の“後継候補”とも目された実力派。信託銀への転身は初めてとなる。銀行との一体運営を具体的にどう進めるのか。中野・新社長に話を聞いた。

「連携」ではなく「一体運営」を進める

――みずほFGは銀行・信託・証券(銀信証)の連携を掲げています。

従来は「連携」と言っていましたが、今後は「一体運営」を進めます。私たちのお客様は信託固有のものではなく、オールみずほのお客様。そのオールみずほのお客様にグループが一体となって総合的な金融サービスを提供します。

言ってしまうと簡単ですが、これがほかのメガ信託と比べたときに大きな差別化戦略となります。たとえば三菱UFJ信託はまず自分の顧客、その後にグループ連携となります。(独立系の)三井住友トラストはとにもかくにも自らの顧客。一方でわれわれはみずほの顧客を第一にとらえる。その差は決定的です。

――具体的にはどう進めますか。

各金融法人が独自に戦略を作るのではなく、これからはFGが個人・中小企業・大企業など、マーケット別の戦略をグループ横断で作ります。各金融法人はその大方針に沿って、役割を果たします。

みずほ信託銀は35店のうち、18カ所が銀行との共同店舗となっています。また銀行のお客様に信託サービスを提供する銀行内店舗「トラストラウンジ」は15店に拡大しました。今後も銀行との店舗共同化を進めていきます。

今年4月からは相続コンサルタントという制度を始めました。みずほ銀行の支店に信託から8名の社員を出向させて、相続業務や遺産整理業務ができるようにしました。従来は銀行から信託への紹介だけでしたが、今後は多くの銀行支店で対応できるようにします。相続や遺産整理のニーズは多い。具体的な店舗数は今後検討しますが、ニーズのある地域・店舗にはできるだけ多く配置したい。

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