ソニー「プレステVR」には別格の強みがある 没入感を体験できるゲームタイトルが充実

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将来的にはゲーム・エンタメ以外の事業社とも連携し、ユーザーのすそ野を広げていきたい考えだ。気になる販売台数目標は公表していないが、現状は需要に対して供給体制が追いついてないようだ「販売台数はソニーの生産能力次第。新ジャンルの機器のため量産に手こずっており、年内に100万台程度ともいわれている」(ゲーム業界に詳しいTokyo VR Startupsの新清士取締役)。

ソニーのブースに多くの人だかりができた(撮影:梅谷秀司)

PSVRの稼働に必要となる“親機”の「プレイステーション4(PS4)」は、2013年秋に北米で最初に発売されて以来、破竹の勢いで販売台数を伸ばしてきた。

スマホゲームが市場を席巻している日本にいると、その勢いは感じにくいが、据え置き型ゲームが主流の北米を中心に売り上げを伸ばし、PSシリーズ最速ペースで販売台数4千万台を突破した。9月15日には現行モデルを小型化かつ値下げした新型PS4と4Kに対応した上位機種「PS4 pro」を発売、PSVRの発売と合せていっそうの普及を見込む。

同世代の競合機種である「Xbox one」や「Wii U」の不振が目立つ中、独り勝ち状態のPS4が次に見据えるのがオンラインサービスの拡大だ。

オンラインがゲーム事業の好調を牽引

現在、ソニーのゲーム事業の2015年度売上高1兆5519億円のうち、ソフトのダウンロードやオンライン会員サービスといったネットワーク売り上げが約3割の5293億円を占めるまでに成長した。以前はPS本体やディスク型ソフトが牽引していたが、今ではオンライン対戦に加入が必要な「PSプラス」、クラウド上で定額遊び放題の「PSナウ」といった会員制サービスの利用者が拡大している。

2016年度は熊本地震の影響もあり、ソニーは予想営業利益3000億円と前年比横ばい水準を見込む。そのうちゲーム事業は4割超を占める屋台骨だ。ゲーム会社にとって書き入れ時となるクリスマス、年末年始商戦にどれだけ販売を伸ばすことができるか、全体業績の浮沈を左右しそうだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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