「シン・ゴジラ」の防衛大臣はプロ失格である

自衛隊特殊部隊創設者が感じたこと

全国東宝系にて公開中の『シン・ゴジラ』。約12年ぶりの日本製ゴジラだ ©2016 TOHO CO.,LTD.
国のために死ねるか』(文春新書)は自衛隊の特殊部隊創設に携わった伊藤祐靖氏の波乱万丈な半生記であると同時に、戦闘論、防衛論、国家論でもある。伊藤氏は人気の映画『シン・ゴジラ』をどのように見たのだろうか。

 

庵野秀明総監督の映画『シン・ゴジラ』が、大ヒットを記録している。同監督がゴジラという謎の巨大生物を持ち出すことで描きたかったのは、日本の政府が意思を決定していくプロセスだったのだろう。映画の中では、総理大臣や大臣、官僚、補佐官が、未曾有の危機を解決すべく奮闘していた。

『シン・ゴジラ』は、映画ファンや監督の庵野ファンのみならず、軍事評論家から元防衛大臣までが関心を寄せ、すでに大量の批評や考察がなされている。自衛隊の働きに関する論評も多い。

私は元自衛官だが、戦闘艦艇から人間が乗る船舶を照準して砲弾を撃ったことはあっても、戦車から砲を撃ったこともないし、撃たせることについて考えたこともない。戦闘攻撃機に至っては、駐機しているものにさえ乗ったことがない。だから、触ったこともないものをどう使うべきだとか、無責任に語る気もその資格もない。

違和感を禁じ得ない場面があった

しかし、特殊部隊の作戦指揮や特殊戦の作戦立案に携わっていた者として、違和感を禁じ得ない場面もいくつかあったし、大いにありうると思いながらも、決してあってはいけないと感じたこともあった。

今から、その決してあってはいけないと感じたことについて書く。なお、まだ映画を観ていない方にとっては「ネタバレ」になってしまうため、映画を観た後に次ページ以降を読んでいただきたい。

次ページ攻撃の中断はやむを得なかった
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