ライザップ「低糖質ピザ」は、どこが違うのか ピザハットがダイエットの敵の改造に挑戦

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また一方で、業界の垣根を越えた、小売業全体での競争の激化も背景にある。

「実はここ10年、宅配ピザ需要は横ばいの状態です。このパイを、宅配チェーントップ3で分け合っていたのがこれまででした。しかし今になって、状況に変化が表れてきました。都心に増える500円ピザ店、冷凍ピザの品質向上……。それにスーパーなどでも、焼きたてのピザを提供するところが出てきました」(原田部長)

一例を挙げれば、窯焼きピザのファストフード「Napoli's PIZZA&CAFFE」や「PIZZERIA BAR NAPOLI」を展開する遠藤商事ホールディングスは、オリジナル窯を用い、本格的なピザを500円程度で、しかもスピーディに提供するという。また、吉野屋ホールディングス傘下のグリーンズプラネットが展開する「ピッツァナポレターノカフェ」もあり、イタリア産小麦と天然酵母を用いた、本格的なナポリピザが500円から味わえる。ピザがより日常的な存在、つまり、思いついたときに、手軽に、気軽に食べられるものになっていると言えるだろう。

こうした中、ピザハットを運営する日本KFCホールディングスの売上高は192億0700万円と、対前年同四半期4.1%減(2017年3月期第1四半期決算短信より)。「原材料・素材・手作り調理へのこだわり」「商品開発力の強化」「現場力の強化」の3つの基本方針に基づき、成長施策を推進しているという。

その施策のひとつとして、“糖質を抑えたピザ”には大きな期待がかかっている。

「個食化需要、健康志向への対応、差別化の一環として、糖質を抑えたピザの企画そのものは昨年から進めていました。そんなとき、たまたまご縁があってライザップさんのブランド力を借りることができるようになりました」(原田部長)

低糖質食品の拡大を狙うライザップ

「テリチキエッグ」の糖質量は約31グラム

記事冒頭で商品開発についての苦労も紹介したが、今回は、商品企画の時点からライザップとの共同開発を行ったという。

ライザップは、トレーニングと糖質制限を基本とした食事指導を組み合わせているのが特徴。低糖質フードやサプリメントなどのオリジナル商品も販売している。

今回のコラボレーションについては、ピザハット側にとってのメリットはもちろん、ライザップのブランド力を利用できること。また、ライザップ側にも、同社が販売する低糖質フードの拡大や、ライザップの認知度向上という狙いがあるそうだ。

「今回のピザは糖質30グラム前後としていますが、ライザップさんによると、糖質制限としては中ぐらいの強度だとのことです」(石橋課長)

ちなみに、ご飯の糖質量は茶碗1杯で約55グラム。毎食このピザを代わりに食べたとしても、糖質を半分近く減らせることになる。しかし、糖質は本来、人間にとっていちばんおいしく感じられる栄養素のはずだ。この糖質をそこまで減らして、おいしいピザができるものだろうか。

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