セブン&アイ、“弱点”克服の兆し 「お荷物」のイトーヨーカ堂が急改善

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小売り大手のセブン&アイホールディングス。「セブン-イレブン」のブランドで展開するコンビニエンスストアが好調な一方、総合スーパー「イトーヨーカドー」は苦戦が続き、これまでグループの足を引っ張る“弱点”だった。

だが、そのヨーカドーが持ち直しの基調を強めてきた。

セブン&アイは4月4日、2012年度(13年2月期)決算を発表した。目を引いたのは、ヨーカドーを運営するイトーヨーカ堂の猛烈な追い上げだ。

上期絶不調のヨーカ堂が下期に挽回

イトーヨーカ堂は上期(12年3~8月)の営業利益が前年同期比約8割減と絶不調だった。しかし、その後は年度末にかけて復調し、1年を通した営業収益は1兆3322億円(前期比2.1%減)、営業利益は90億円(同14.6%減)まで持ち直した。下期(12年9月~13年2月)だけを取り出すと、営業利益は前年同期比で38億円改善。通期で従来計画を20億円上回った。

「上期の状況は非常に厳しかったが、下期に38億円の増益を達成できた。衣料品のPB(プライベートブランド)が具体的な形で利益に貢献し始めたことで、衣料品の粗利が改善した」と、イトーヨーカ堂の村田紀敏社長は説明する。「まだまだ本格的に構造改革ができたわけではないが、(改革の)芽が少し開き始めたかな、というところ」(村田社長)。

続く新年度(14年2月期)はどうか。イトーヨーカ堂は年度初めの計画として、既存店売上高は引き続き前年割れ(前期比2.8%減)を見込んでいる。ただ、「これはかなりコンサバ(保守的)な数字。プラスに転じる可能性はある」と同社幹部は明かす。その自信の根拠は、着々と改革が進みつつあることだ。

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