マイナス金利継続で金融波乱が起きる懸念

日欧の金融政策が米国に負の影響を与える

日銀のETF買いもあり、日本の市場には漠然とした上昇期待がある。だが果たしてそうか(写真:ロイター/アフロ)

どうやら、「ファンダメンタルズ」(経済の基礎的条件)は大きく変化し始めているのかもしれない。

9月9日の米国株式市場は、利上げ観測の高まりを受け前日比で394ドル安と大幅に3日続落し、約2カ月ぶりの安値を記録した。

FRBと投資家の「利害」は一致しない

米供給管理協会(ISM)が6日に発表した8月の非製造業部門総合指数は、生産や受注の落ち込みによって前月比4.1ポイント低下の51.4と、2010年2月以来およそ6年半ぶりの低水準に落ち込んだ。

市場予想を大きく下回る低調な結果によって、市場の利上げ観測は急速に萎んだはずだった。だが、利上げ観測を再び呼び起こしたのが、先週末のローゼングレン・ボストン連銀総裁の発言である。

FOMC(米連邦公開市場委員会)での投票権を持つ「ハト派」と目されているローゼングレン総裁による「緩やかなペースでの緩和策解除を続けなければ、この回復局面は長くなるよりも、むしろ短くなる可能性がある」という「タカ派」発言は、市場にFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが依然として射程圏内にあることを思い出させるに十分な内容だった。

先月のダドリー・ニューヨーク連銀総裁が発した「市場は利上げの可能性を過小評価している」という警告に続く、「ハト派」と目されていたローゼングレン総裁による「タカ派」発言は、FRBが法定準備預金の15倍近く積まれている超過準備預金の存在を警戒し、「Behind the curve(政策が後手に回ること)」に陥らないよう、細心の注意を払っていることを感じさせるものだった。

投資家にとっては喜ばしい「利上げ先送り期待による株高」は、「金利の正常化」と「準備預金の正常化」という「2つの正常化」を目指さなければならないFRBにとって、歓迎すべきものではないということは意識しておく必要がある。

ローゼングレン総裁による「タカ派」発言によって利上げ観測が高まったことでニューヨーク株式市場は大きく下落したが、市場が織り込む9月の利上げは24%(CME=シカゴ・マーカンタイル取引所が算出する予想確率、通称「Fed Watch」)に留まっている。

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