移民の国カナダで、"ケベックが最強"の理由 「フランス語」も「トレーサビリティ」も、生き抜くための手段?

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今、ケベックの3つのサーカスが日本中を回っているのを知っていますか。“シルク・ドゥ・ソレイユ” “シルク・エロワーズ” “セブンフィンガーズ” です。ひとつの州のエンターテイメントが同じ時期に3つも日本中をまわるというのは、ほかではあまりないことです。

――クリエイティビティと言えば、ケベックの商品のデザインや包装はどれを見てもとても美しいですよね。

シャロンさん:それもケベックのクリエイティビティを表す文化のひとつです。日本も包装などのクオリティは高いですが、日本に輸入するときにほとんど手を加えなくてもマーケットに受け入れられるぐらいです。そこもフランスの文化から来ているのかもしれませんね。

勝つために、トレーサビリティを重視

それから、ケベックのすべての食品は“トレーサビリティ(食品の生産・流通過程における「追跡可能性」)”されているのが特徴です。すべての品が、どこでどう作られたかを知ることができるので、安心です。ジャムや質の高いメープルシロップ、アイスワインなど、すべてそうです。

その理由としては、ケベックが輸出に頼っていることが挙げられます。州内が多様性に飛んでおり、アフリカ・アラブ・ヨーロッパなどさまざまな国の人が共存する環境なので、もともと人々が持つビジョンが広く、最初から世界に目を向けています。質の安心・安全を徹底しないと競争には勝つことはできません。

でも逆に言えば、その質があるからこそフランコフォニーの国はもちろん、NAFTA(北米自由貿易協定)の国々、世界中がマーケットになります。私達が日本を信頼して一緒にコラボレーションして行きたいところの1つが、お互いの商品の高い質です。

関西で開催される「フランコフォニー」では、さまざまな企業が出展していますのでそこでビジネスパートナーを探すこともできますよ。日本とケベックは食の安全や豊かさ、生活の質や環境がとても似ています。平均寿命が女性は83歳、男性は79歳で日本と近いことも、この環境からきているのかもしれません。

環境問題にも力を入れていて、ひとつあった原発も止めました。ケベックを訪れた際にはぜひ、1週間ほど時間をとって見ていただきたいですね。

(撮影:今井康一)
 

竹村 真紀子 IWCJ代表

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たけむら まきこ / Makiko Takemura

一般財団法人International Women's Club JAPAN(IWCJ)代表理事
International Women's Club ASIA(IWCA)事務局長。日韓中を中心にグローバルマインドをもつ家族で構成される俱楽部を運営し、アジア圏でのビジネスマッチングを推進するとともに、次世代がアジア人としてグローバルに活躍できるよう、30カ国以上の駐日大使館の協力を得て、子ども向けにリトルアンバサダー・プログラムを開催。国際機関で海外人向けの「日本のビジネスマナー」研修を担当。
 

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