戦場のレバノン人エリートが悟った本当の幸せ

フランスINSEAD突撃取材(上)

グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。
INSEADのレバノン人学生、ジョーマイゲル。建設界のゴールドマン・サックスと呼ばれるベクトル社で働く、エリートである。

さて、今週から数回にわたって、フランスのINSEAD(世界80か国からエリート層の集まる最高峰のビジネススクールの一つ。来たる3月12日、13日には日本での説明会が開かれるので、20代から30前半でMBA留学を目指されている方はぜひ参加してみてほしい)で出会った学生の皆さんに突撃取材することにしたい。

われわれは今、車でフランスの有名なスキー場、シャルモニに向かう途中でガソリンスタンドで給油中である。今、私とドライブしているのはジョーマイゲル。レバノン生まれの29歳だ。これまでの人生のうち、7年間をロンドンで、22年間をレバノンで過ごしている。あのアメリカ大統領選やイラク戦でしばしば登場するベクテル社(サンフランシスコに拠点を置く世界最大級の建設会社)でスタープレーヤーとしてのしあがり、一年後にはベクテルの中東拠点ドバイで市場開拓を担う予定だ。

レバノン豆知識

日本でレバノンと言うと、レバノン料理とカルロス・ゴーン社長以外にあまりなじみがないかもしれないが、レバノンは中東で最もユニークかつ不安定な国のひとつに数えられている。

フランスでレバノン人の友人から直接聞いた歴史を少しおさらいすると、第1次世界大戦でオスマン帝国が敗れたのち、レバノンはイギリスとフランスに分割統治された。人種的にはアラブ人ではなくイスラエル人と同じセム系に属し、文化的にはキリスト教とムスリムを中心とした17の宗教が人口400万人の小国に混在する。

国内は宗教単位で分裂しており、国家アイデンティティが乏しく、宗教が個人のアイデンティティのコアを形成しているという。そんな彼等が歴史上唯一団結したのは、1943年にフランスから独立するために戦った時だが、独立後は宗教間の対立で混迷を極めた。

1975年から1999年まで続く長い内戦を経て(イスラエルのパレスチナ侵攻に端を発し、パレスチナ難民を迎え入れたいレバノン国内のムスリムとそれに反対するキリスト教徒の対立が原因)、ムスリムを支援してきたシリアが国内で影響力を振るい、傀儡政権が支配していた。

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