中国で沸騰する「電気自動車ブーム」の舞台裏 外資はガソリン車で勝負
[天津(中国) 2日 ロイター] - 中国は大都市の大気汚染緩和のため、自動車メーカーに2020年までに厳しい燃費基準を順守するよう義務付けている。これを受けて国内勢はもっぱら電気自動車(EV)の推進によって基準達成を目指す意向だが、外資系はあくまでガソリン車の性能向上を図っていく方針だ。
先週には独アウディ<NSUG.DE>が天津にガソリン車向け高性能トランスミッションを製造する新工場を開設。現地法人トップのヨアヒム・ウェドラー氏は「2020年にわれわれが販売している自動車の大半は、ガソリン車になるだろう。だから(燃費目標を)達成するために、すべてのアウディのモデルの燃費を改善しなければならない」と語った。
外資系メーカー幹部の間からは、中国勢が進めている野心的な電気自動車の計画は消費者の要望とはかけ離れ、リスクとコストがあまりにも大きいと判明する恐れを指摘する声が聞かれる。
中国政府が設定した2020年の燃費基準では、自動車は100キロの走行に際しガソリン消費量を平均5リットル未満に抑える必要がある。これは現行から3割近く減らす水準。
こうした中で国内メーカーは、電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)を増産しており、いわゆる「新エネルギー車」の販売台数は2015年に4倍も拡大した。
ただ今年1─7月の自動車販売台数に占める新エネルギー車の比率はなお1.4%にすぎず、走行距離やチャージ拠点などへの懸念は払しょくされていない。
ある大手外資系メーカーの中国合弁会社の駆動装置部門幹部は、中国勢が電気自動車に傾斜する理由について、比較的規模が小さく小回りが利くことに加え、政府と親密な関係にあるため「お上の方針」には従わざるを得ない点を挙げた。
吉利汽車(ジーリー)<0175.HK>は2020年までに販売台数の90%を新エネルギー車にしようとしている。また広州汽車集団(GAC)<601238.SS>は年末までに、グリーン燃料車の年間生産能力を最大40万台に引き上げる計画だ。
一方、先の外資系幹部は、自身が属する企業もアウディと同様により漸進的な戦略に軸足を置き、より高燃費のガソリンエンジンとPHVを並行して開発するつもりだと話した。
これは、ガソリン車を基本としながらも、大気浄化に取り組んでいる中国政府も喜ばせる折衷案と言えそうだ。
(Jake Spring記者)
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