衝撃事実!トランプの「暴言」は演技だらけ?

ウケるための「必死の工夫」を検証する

トランプがビンス・マクマホンから学んだのは、ものすごく傲慢なリーダーシップをとると、白人ブルーカラーは味方してくれるということです。

WWEの視聴者の多くは大卒ではなく、収入も少ない、いわゆる白人ブルーカラーです。マクマホンは、従業員であるレスラーをこき使ったり、自分に逆らうレスラーをクビにしたり、経営者として悪の限りを尽くします。ワーキング・クラスの観客は当然、レスラーに感情移入して、マクマホンを憎みますが、同時に、このエンターテインメントを運営しているのはマクマホン自身だと知っており、マクマホンにチケット代を払うわけです。

この不思議な構造を、トランプは相当学んだと思います。

つまり、人気を得るためには正義になる必要はない。悪でいいんです。トランプは、差別的な発言をしたり、言ってはいけないことを言ったりする「いじめっ子」というキャラクターで予備選を勝ち続けました。それで大喜びする人たちがいっぱいいたんです。

なぜなら、共和党の支持者の多数を占める白人の労働者は、学校ではいじめっ子だったような人が多いからです。『ドラえもん』ならジャイアンです。そしてトランプの差別的で傲慢な演説は、ジャイアンリサイタルそのものです。

人前で素を出した瞬間はたった2回だけ

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日本のマスコミの多くが、トランプはレイシストだと報じていますが、それはちょっと違うと思います。すべてネタなんですよね。ウケそうだからひどいことをいっぱい言う。そういうパフォーマンスです。

選挙に出る前から、トランプにインタビューをした人が口をそろえて言うのは、「トランプはずっと演じているから、彼自身の心に触れた感じがしない。トランプというキャラクターを演じているだけに見える」。そんな人が大統領になって大丈夫なのかと思いますが(笑)。

そんなトランプでも、人前で素を出した瞬間が2回だけあります。

ひとつは、80年代の終わり、自分の一番大事にしていたスタッフがヘリコプター事故で死んだとき。その事故のあとしばらくは、すごく沈痛な面持ちでテレビに出ていて、いつものハッタリをかましませんでした。

もうひとつは、TV番組「アプレンティス」が子供たちの間でも人気になってきたとき。末期がんの子どもの願いをかなえる団体がありまして、ひとりの少年が「アプレンティス」のファンで、彼の願いは「トランプさんに『お前はクビだ』と言われたい」だったんです。

それで、トランプはその少年が入院している病院まで行きました。少年は「アプレンティス」の出演者のようにスーツにネクタイでトランプを迎えたんですが、トランプは彼を見て「お前はクビだ」とはどうしても言えなくて、「がんばれ。人生を楽しんでくれ」と言って、彼は帰っていったんです。このときのトランプはいつものボス・キャラを演じられなかったのです。

でも、このようにトランプが素を出すのはごくまれで、普段はほとんど素を出しません。プロレスラーは素を絶対に出してはいけませんからね。

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