ヨーカ堂の閉鎖店舗が続々決定!新浦安店も 千葉県2店、愛知県2店、京都府1店などが判明

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直近では、8月21日に東京都品川区の戸越店が48年の歴史に幕を下ろした。閉店当日の午後8時すぎ、同店の前には100人を超える人だかりができていた。そこに現れたのは同店の店長だ。

「イトーヨーカドー戸越店は48年という長い歴史を持っております。開店したときは、“東洋一”と言われるほど大きな店でした。ただ、年月が経ちまして、老朽化も進みまして、なかなか立ち行かなくなってきております。心苦しいのですけれども、今回、閉店をさせていただく形になりました。長い間、ありがとうございました」

店長が深々と頭を下げると、1分以上もの間、拍手が鳴り止むことはなかった。お年寄りから幼児にいたるまで、多くの世代の人が従業員に拍手し、声をかけていた。中には目に涙を浮かべている人も散見された。

オオゼキやオーケーが近くに進出

戸越店の閉店には多くの人が集まった

閉店について会社側は「老朽化」を理由とするが、それだけではない。近くに住む60代の女性は「オオゼキやオーケーができてから厳しくなったみたい」と話す。1967年にイトーヨーカドー戸越店が開業したときは、「スーパーはここぐらいしかなく、便利だった」(同)。だが、2006年に同店から徒歩で10分ほどの距離に同業のスーパーマーケット、オオゼキが進出してきた。イトーヨーカドー戸越店が閉店した日も、オオゼキ戸越公園店は「おかげさまで10周年」というポスターを掲げ、野菜や肉などのさまざまな割引セールを実施していた。2013年にはディスカウントストアのオーケーが同じく徒歩10分圏内に出店。競争はいちだんと激しくなった。

2017年2月末までの閉鎖が決まったイトーヨーカドー東習志野店

かつてイトーヨーカドー戸越店でパートで働いていた女性は、「閉店は寂しい。もっと続けてほしかった」と話す一方、「上の人が決めたのだから仕方ない」と肩を落とす。同店で働いていたパート従業員は、希望すれば大井町店や大森店など、近くの店舗で働き続けることができるという。この女性も戸越店の閉店が決まり他店へ移った一人で、この日の閉店を見届けに来ていた。

8月上旬には同じセブン&アイ傘下のそごう・西武が、西武百貨店2店の閉鎖を発表。カタログ販売を手掛けるニッセンホールディングスも、業績の回復にメドがつかず、セブン&アイが完全子会社化に踏み切り、同社主導での抜本的な改革が実行される。

セブン&アイは10月上旬に予定されている2016年度上期決算の発表に合わせて、構造改革を含めたグループ戦略を公表する方針だ。業績低迷が続くイトーヨーカ堂はその本丸に位置づけられる。閉店は周辺地域への影響が少なくないだけに慎重な判断が求められるが、止血策としてさらなる閉店に踏み込むのか。経営陣の判断が問われる。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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