開業から2年目を迎えた北陸新幹線の沿線を、7月下旬に訪れた。前回の訪問から9カ月ぶり、大小さまざまな変化を実感できた。特に目を見張ったのは、更地が広がっていた上越妙高駅(新潟県上越市)の駅前に出現したコンテナ店舗群「フルサット」だ。
遠目にはプレハブ住宅のような白い構造物だが、足を踏み入れると、人や地域をつなごうとする意思が伝わってくる。地元や全国の将来像を模索する中で、コンテナ建築にしかできない斬新な視点と場がはぐくまれたという。上越妙高駅自体も、東西日本の結節点として生まれ変わりつつあるようだ。北陸新幹線がもたらした「2年目の波」を、上越市で探ってみた。
駅前にコンテナ店舗群が
「新幹線が開業するから、何か自分の経験を生かせることが始まるかな、と思って帰郷しました。でも、そんな気配がない。だから、自分で始めることにしたんです」
フルサットの平原匡さんは、穏やかながら強い芯を感じさせる口調で語る。39歳、運営する観光コンサルティング会社・北信越地域資源研究所(上越市)の代表取締役を務め、フルサットの管理も自ら手がける。地元の友人の紹介で、突然の訪問にもかかわらず、快く対応していただいた。
真っ白なコンテナの基本サイズは、長さ約12m、幅約2.4mの「9坪」タイプと、長さが半分の「4.5坪」タイプ。色や光沢、細かな形状から、緻密なデザイン感覚がうかがえる。店舗ごとに洗練された内装は、無骨な「コンテナ」の響きとは無縁の、しかも木造やコンクリート建築とは異質な魅力を生み出している。
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