全米を席巻する「ミスター・ロボット」の裏側 大人気TVドラマ、主演俳優が語る

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──ニューヨークでの撮影はどんな感じですか? 今回はシーズン1が成功したあとの撮影になりますが。

去年、クリスチャンと僕とでタイムズスクエアのシーンを2つ撮影したんだけれど、周りの人にはパーカーを着た子どもとホームレスの男の2人組にしか見えなかったと思う(笑)。でも今は違うよね。街中で「ミスター・ロボットだ!」って叫ぶ人が多くなったんだ。

この作品では、それぞれの登場人物が絶望的な逆境に立たされるわけで、そう考えるとニューヨークという巨大都市を舞台にすることは理にかなっている。ニューヨーク以上に撮影に適した場所はないとさえ思うよ。過酷で荒々しい現実を体現していて、そこに閉じ込められているような感覚を、背景にそびえるフリーダム・タワーが対照的に表現していたりとね。そんな感覚を得られる場所は他にはないと思う。

クリスチャン・スレイターはプロ中のプロだ

──クリスチャン・スレイターとの共演はどうですか?

彼は最高、大好きだよ。プロ中のプロだ。いつもきちんと下準備をしてくるけれど、必要とあらばその場で何でも対応できる。自分の演技に他人を引き込んでしまうタイプの俳優だ。子役からずっとやってこられたのには、それだけの理由があるってことさ。そういう才能面だけでなく、人格面でも彼は本当にいい人なんだよ。

──一緒に長時間を過ごす相手としては大事なことですよね。

もちろん。僕たち2人はそれぞれのキャラクターとともに常識外れの浮き沈みを経験している。特に2人一緒のシーンでは、ある時には貪欲になるし、ある時にはかなり意地の悪いやり取りもする。だから、たまには忘れてただ一緒に楽しめることが、毎日仕事する上で一番いい方法なんだと思う。

──製作総指揮や監督を務めるサム・エスメイルとの仕事はどうですか?最初のシーンを撮影する前に、彼と第2シーズンについてじっくりと話し合いましたか?

僕があまりにも何度も話したがったから、彼はイライラしかけていたと思うよ(笑)。

僕は最初からこのドラマがすごく特別なものになると思っていたんだ。それは言うまでもなく、サムという人がつくる作品だから。彼は想像力が豊かで頭の回転が早く、独創的な脚本家であり監督だ。不気味なほどの才能がある。それなのにいつも肩の力が抜けていて穏やか。謙虚であることも、才能の発揮を後押ししている。彼のようなビジョンを持つ人が、俳優と協力して仕事をする……彼は僕の言わんとすることに耳を傾けてくれたし、僕から提案した演技の方向性も聞き入れてくれたよ。

──サムは今まさに編集室にいるんですよね?

そう。彼には自分の時間なんてないよ、全然寝ないしさ……。どうやってエネルギーを保っているのか不思議だね(笑)。でも素晴らしい人だ。たまに僕は自分の考えを正当化しようとして気づくことがあるんだ。「まあいいや、サムに任せれば大丈夫」ってね。

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