東大出身者がピアノ愛好家の頂点に立つ理由 大人を燃えさせる「アマチュアピアノ」の世界

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アマチュアピアノ界を支えるのは30代~50代の働き盛り。エンジョイ派からアマコン出場を目指す猛者まで、その層は幅広い(写真:Kav/PIXTA)

昨2015年の秋、5年に1度の「ショパン・コンクール」に湧いたピアノ界。優勝者チョ・ソンジンはニュー・ヒーローとして世界中が注目する存在となり、コンクールでのライヴ・アルバムも大きな話題となった。しかしその頃、同じワルシャワで「ショパンコンクール・アマチュア大会」が開催されていたことは意外と知られていない。調べてみると、ワルシャワ以外にも世界各地でアマチュア・ピアノコンクール(以下、アマコン)が開催され、それぞれかなりの盛り上がりを見せているようなのだ。

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ざっと見渡しただけでも、「パリ・グランド・アマチュア・ピアノコンクール(フランス)」「ヴァン・クライバーン・アマチュア・ピアノコンクール(アメリカ)」「ロッキーマウンテン アマチュアピアノコンペティション(アメリカ)」などなど。コンクールの様子をチェックしてみると、その演奏レベルも相当な高さであることが伺える。折しも今年6月、5年に1度の「ヴァン・クライバーン・アマチュア・ピアノコンクール」が終了したばかりで、日本人の活躍もかなりのものだったと伝え聞けば、これはピアノファンとして気になる限り。

早速知人のアマチュアピアニスト竹本義就氏に話を聞いてみることにした。竹本氏は、一部上場企業においてインターネットメディアの開発責任者として活躍する一方、《鍵盤うさぎ》の名の下に自らのピアノ活動をブログで綴るアマチュアピアノ界の有名人だ。さて、いったいアマチュアピアノ界はどんな状況なのだろう。

アマコン優勝レベルでは男性優位

「今のアマチュアピアノ界を支えているのは、30代後半から50代半ばの働き盛りですね。おそらく1980年にピークを迎えたピアノの年間生産台数(39万台:静岡県楽器製造協会調べ)とも関係があるように思います。高度成長期の波に乗って一般家庭へのピアノの普及が増えると共に、ヤマハやカワイの音楽教室の数が飛躍的に増えました。当然、そこでピアノを習う子供の数も圧倒的に増加します。その多くは、受験勉強やほかの習い事を優先するなど、さまざまな理由によってピアノから離れてしまいます。しかし、社会人となり余裕が出てきたところで、ピアノへの情熱が再燃する。それが現在のアマチュアピアノ界を支えている層だと思います」

なるほど。しかしその情熱が、個人の楽しみを越えてアマコンに挑戦するまでに発展するあたりが普通ではないように感じられる。

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