ホンダ「アシモ」、里山へ 再生に人型ロボットの最新技術を応用

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最新型のアシモは紙コップにジュースを注ぐといった細かい作業もできる

この取り組みは、単に里山再生にとどまらない可能性がある。ホンダの研究開発子会社・本田技術研究所の山本芳春社長は、「山がいちばん難しいと思う。山で実用化できれば、農業や林業、水産業にも応用が広がりそうだ」と他分野への展望を語る。

「技術は人に奉仕するためにある」とは創業者・本田宗一郎氏の言葉。ホンダの研究者が、「人間そのものを研究している」という位置づけにあるアシモの技術が、ついに人へ奉仕されることになる。

レアアースの再利用も

ホンダは、これに限らず環境関連で次々と新しい事業を打ち出している。今週には、ハイブリッド車(HV)の使用済みニッケル水素電池からレアアース(希土類)を抽出して再利用できるようにして、電池メーカーに販売する事業も始める。

ホンダはこの技術を世界で初めて確立した。これまではレアアースを含む酸化物の抽出までしかできなかったが、電池材料にそのまま使える高純度で取り出せるようにした。電池メーカーへの販売価格は、中国からの現状の輸入価格とほぼ同じで、採算はトントン程度。ただ、中国の政策によってレアアース価格が高騰するリスクの回避につながる。

処理能力は月間1000台分。今週中にも、納車前に東日本大震災で被災したHV386台の電池から抽出したレアアースを電池メーカーに販売する。今後は、販売店経由で回収したニッケル水素電池からのレアアース再利用を進めていく。

伊東社長は「今回の電池を含め、今まで再利用があまりできていなかった領域には集中して取り組んでいく」と話している。

(記事中のASIMOの写真は2011年11月に開いた発表会での模様、撮影:風間仁一郎)

長谷川 愛 東洋経済 記者
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