シェール大増産で、失業率0%になった町 賃金うなぎ上り、モーテルまで満杯

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同社は米国において中堅クラスの開発業者。2012年の売上高は2000億円強、純利益は380億円程度である。米国のシェール開発では、こうした中堅・中小の開発業者が主導的な役割を担っている。もっとも、中堅とはいえ、中長期的な高成長見通しを背景に、ニューヨーク証券取引所に上場する同社株の時価総額は、今では1兆5000億円近くにまで急拡大している。

ちなみに、同社がバッケンで競合相手とする企業には、ヘス、ホワイティング・ペトロリアム、EOGリソーシズ、スタトイル(ノルウェー)などがある。

失業率はゼロ%台!平均賃金もうなぎ上り

オイルブームは地元に絶大な経済効果をもたらしている。

ウィリストン市を含むウィリアムズ郡の失業率は昨年11月現在0.9%。ノースダコタ州全体の失業率(12月分)も3.2%であり、全米50州で最低だ。全米平均は7.8%である。ミネアポリス連邦準備銀行の調査では、バッケン地域の昨年の平均賃金は前年比で19%増。04年には全米平均を約4割下回っていたが、今では逆に約3割も上回っている。

地元紙のかなりのスペースを占める求人広告を見ると、圧倒的に多いのがトラック、トレーラー運転手や現場技術者をはじめとした油田関連だ。レンタカーのハーツが、ここでは油田用の建機などのレンタル事業を拡大していることもわかる。そのほかにも、医療関係の技師や看護師、レストランや商店の販売員、住宅などの建設作業員、水道工や鉄道員、保険外交員などさまざまだ。

モーテルの主人は、「この町は実力以上の急成長をしている」と話す。流入する人や企業にインフラが追いついていないという意味である。特に住宅、ホテル不足が深刻で、「町の教会が寝床を提供しているほどだ」という。

もっとも、既存のモーテルやホテルの経営者にとっては、むしろ好環境。モーテルの経営者夫婦は2年前にニューヨーク市郊外からここへ移ってきたが、「部屋は連日満室で、ニューヨークにいた頃より年収は2倍以上に増えた」と満足げだった(写真)。

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