シェール大増産で、失業率0%になった町 賃金うなぎ上り、モーテルまで満杯

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増える簡易宿泊所「マンキャンプ」、インフラ不足が大問題

ウィリストン市によると、2012年現在の同市の人口は推計で1万7792人。2年前に比べて21%もの増加だ。しかし、一時的な滞在者、労働者と見なされて人口にカウントされない人々を含めた「サービス人口」は、その倍の3万3547人に及ぶという。そして17年には、正式な人口は2万8688人となり、サービス人口は4万3993人まで増えると見込んでいる。

実際、近年のオイルブームで流入した労働者の多くは「マンキャンプ」と呼ばれる簡易宿泊所やトレーラーハウスで生活している。こうしたところに住む住民は正式な人口にカウントされていない。

ウィリストン市周辺にいくつもあるマンキャンプのひとつを訪ねて係員に聞くと、約1400人が住んでおり、平均して2年間ぐらい生活するという。きちんとした住宅に移るまでの間、とりあえずマンキャンプで生活する人もいるらしい。生活の便は悪くないようだ。24時間食事がとれ、共有スペースにはフィットネスルームやサウナもあるという。

「市民は今のオイルブームをどう思っているのだろうか」――。ウィリストン市経済開発局のサウィッキ氏に尋ねてみた。「それは各自の感じ方によるでしょう。町の成長に乗っていきたいと考えている人もいるし、以前のような静かな時代に戻してほしいと思っている人もいる」。彼女はそう答えた。

スルーラン国際空港は航空需要急増から移設計画も浮上

そして、「今後のシェール開発を支えていくうえで、市として最優先で解決すべき課題は何か」との問いに対しては、「それは皆、インフラの問題に行き着く。道路の建設、排水処理施設の増設、空港の移設、市役所ビルの拡張、住宅開発などだ」(サウィッキ氏)との返答。

空港は市中心部にやけに近いと思っていたが、やはり移転計画があるようだ。航空需要の急増を受け、より大型の飛行機が発着できるように滑走路を拡張する必要があるという(現在は、デルタ航空がミネアポリスとの間で1日2便、ユナイテッド航空など3社がデンバー間で1日計6便を就航している)。
 

中村 稔 東洋経済 編集委員
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